企業分析:7064ハウテレビジョン(3.0)

toysさん、大変おまたせしました。それでは議論をお願いします。

0.結論

主力のハイエンド就活サイト「外資就活ドットコム」はプラットフォーム型ビジネスモデルの強みを持っている。野心的な中期計画を掲げるが、会社が公表しているLiigaや知的共有プラットフォームビジネスを考慮しても達成できるように思えず、2022年の黒字化も不透明。中期計画と実力とのズレがはっきりするまで投資はしづらい。評価は3.0。

1.基礎情報

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その他情報
IRページ
・ハウテレビジョンインタビュー(前取締役 長村さん) 

参画2年で上場へ!外資就活ドットコム 前取締役 長村禎庸氏に、事業再生→上場の具体策を聞いた!

2.ポイント

Step1:業績の確認
・2019年4月に上場。2020年度までは売上/利益ともに成長。営業利益率は10%程度。
・B/Sはキャッシュが溢れている状況。
2021年度は大幅減益の計画(売上9.7億、営業利益▲3.6億)で、1Qも赤字決算。

Step2:事業の確認、ビジネスモデルは?
・外資就活ドットコムという東京大学などの超ハイエンド学生をターゲットとしたNo.1就活サイトを運営。ハイエンド転職サイトLiigaでさらなる成長を目指す。
・外資就活ドットコムは企業側への広告料が収入源。1社あたり300〜400万円/年(上記Youtubeより)

Step3:株価の確認
1821円。今期赤字予想のため予想PERは算出できず。
前期EPS38.4円、前々期EPS57.0円。前期ベースでPERを計算するとPER47.4。前々期ベースでもPER32。割高感はある。

3.依頼者さんへの質問

①今後5年の成長イメージをどのように考えていますか。
②今期予想が赤字および1Q赤字についてどう考えていますか。
③会社の強み・弱みについてどのように考えていますか
④その他、聞きたいことがあればどうぞ

『企業分析:7064ハウテレビジョン(3.0)』へのコメント

  1. 名前:toys 投稿日:2020/09/22(火) 22:42:01 ID:6f1f4ebfa 返信

    すぽさん

    遅れて申し訳ございません。議論よろしくおねがいします。
    下記、各事項について書かせていただきます。

  2. 名前:toys 投稿日:2020/09/22(火) 23:41:38 ID:6f1f4ebfa 返信

    ①今後5年の成長イメージをどのように考えていますか。
    中期経営計画を見ると、2023年1月期は売上22億円、営業利益3億円とのことです。
    2021年1月期(予)は、売上高が9.7億円、営業利益△3.6億円ですので、計画が達成されるとすると2年で倍近くの成長をすることとなります。単純計算では、年平均25%程度の成長が必要ですがこれは可能だと見ています。

    事業別収益を2021FYベースで見ると、外資就活ドットコムが8億円、Liigaが1.8億円となっています。当初、ハウテレビジョンは外資就活ドットコム一本足でしたが、中途採用向けサービスのLiigaをローンチしたことにより、これまで卒業したら終わりという顧客基盤を更に使い倒せるようになりました。今後、中途採用市場が大きくなることは間違いないと思いますので、5年後には外資就活ドットコムと同程度の規模になるのではと思っています。

    外資就活ドットコム事業については、累積会員数が前年同期比33%増と絶好調です。こちらも5年後には倍程度の規模になると思っています。そう考えると、外資就活ドットコムが16億円、Liigaが8億円で合計24億円+α(知見共有PF)程度の会社になるのではないでしょうか。

    バリエーション的には、PERは算出不可なのでPSRを見ると予測ベースですが2.7倍とこのペースの成長率の企業にしては割高ではないのではというのが私の見解です。

    ②今期予想が赤字および1Q赤字についてどう考えていますか。
    https://global-assets.irdirect.jp/pdf/tdnet/batch/140120200910491002.pdf
    この資料の営業利益増減要因を見ると、広告売上撤退効果が△90億円、その他固定費増加△70億円、外注費増加△45億円となっています。

    固定費増加はオフィス移転によるもの、外注費増加は人件費の代替ということで一過性だと思われます。とすると、問題は広告売上撤退効果です。これは間違いなくコロナと思われますが、少なくとも日本においては多くの死亡者もなく医療崩壊も起きていない昨今、長期的に続く問題ではないと思っています(ここは賛否両論ありそうですが・・・)。

    なので、今回の赤字は事業の根本的な改善が必要なところではなく大きな問題ではないと思っています。

    ③会社の強み・弱みについてどのように考えていますか
    強みについてですが、まず難関大の学生向けサービスということでブランドがあります。動画にも挙げられていましたが口コミで利用者が増えていったサービスであり、既存の就活サービスとは差別化しながら事業を育てていったところにユニークさがあります。

    また、ビジネスモデルも強みです。Liigaが開始されたことでこれまでの顧客基盤を収益化できるようになりました。Liigaによってこれまで就活したら終わりだった顧客のLTVをかなり伸ばせることになりました。新卒採用から中途採用までということで15−20年程度は活用されるサービスというのは中々ないと思っています。

    一方弱みについてですが、難関大の学生向けサービスという点です。今後成長を続ける場合、難関大の学生のみでは成長が難しく、他大学のユーザを受け入れていくと既存ブランドが毀損される可能性が高くポジショニングが悩ましいことになると想定されます。そこは長期的な課題なのではと思っています。

    ④その他、聞きたいことがあればどうぞ
    新卒採用関連サービスが主要事業ですが、今後この市場についてどのような見通しを持っているかご意見を賜りたいです。

  3. 名前:すぽ 投稿日:2020/09/24(木) 12:27:52 ID:0deab1da1 返信

    toysさん、ありがとうございます。
    ハウテレビジョンは「強みに関しては強固である一方で、成長ストーリーに関しては新規事業への依存が強く不確実要素が多い」というのが僕の印象です。

    ■会社の強みについて
    「No1ハイエンド就職プラットフォーム」として、典型的なプラットフォーム型ビジネスモデルの強みを発揮しています。外資就活ドットコムを見てみると、普通の就職サイトとは全く違う「ハイエンドの人特有のキャリア相談」などで溢れており、同じ境遇の人たちが集まっていることが強みになっていることがわかります。こうなると大手でも戦いようが無くなるパターンです。

    ■成長について
    一方でtoysさんもおっしゃるように「上位大学の学生を取り切ってしまうと成長余地が無くなる」というのが成長に関する最大の課題です。Youtubeの長村さんインタビューでも、「そもそも横ばいで停滞しかけていたところをアクセス数を増やすこと(DAU)で、広告単価を上げ成長軌道に戻した」という話が出てきます。
    学生増による成長ストーリーは2〜3年で頭打ち感が出るように思います。

    それに変わる成長に関しては、ハウテレビジョンとしては大きく3つぐらいを考えているようです。

    ①Liigaの成長
    ②ブートキャンプ(研修)など
    ③知見共有プラットフォーム

    ①と②はすでにスタートしており手応えも悪くないと思いますが、③はリリース前ですので、織り込むのはやめたほうが無難だと思います。

    ■中期計画について
    中期計画については楽観的なのがどうしても気になります。今年(2021)が売上9.7億とほぼ横ばいなのに、2022は15億といきなり50%成長を果たし、2023は22億とさらに50%成長を果たすという突然の急成長がつづくストーリーになっています。2022はLiiga、2023は知見共有プラットフォームが急成長という計画なのだと思いますが、どちらも「うまくいけば」という感じに見えます。
    また、利益については限界利益は高いビジネスなのでコストの方向性がポイントになりそうです。

    ①人件費 → 一貫して拡大傾向。経営層も外部から優秀なメンバーを集めており増加傾向は続きそう
    ②家賃 → 移転費用は一時的だがオフィスが大きくなったことで固定費増になる

    仮に2022の売上増がぱっとしないと二期赤字が続くことになるので、株価も失望の流れになりかねません。

    個人的には知見共有プラットフォームの様子を見てから、株価とのバランスをみて買うぐらいになってしまうかなぁと思いました。

    ■新卒採用サービス市場の方向性について
    ここについては中長期(3〜5年)視点では楽観も悲観もないニュートラルぐらいに見ています。もともと少子化による売り手市場トレンドの中で、コロナも落ち着きを取り戻しつつあるので採用控えトレンドにはならないと思います。転職に関してはより流動性が高くなっていくように思うので、プラストレンド位感なぁと思っています。個人的な見方程度の話ですのでご留意ください。

    ここまでいかがでしょうか。

  4. 名前:toys 投稿日:2020/09/27(日) 16:43:46 ID:bb2746331 返信

    すぽさん
    お返事ありがとうございます。

    ■会社の強みについて
    強みについては認識に相違がないようですね。

    ■成長について
    強みと裏腹に、挙げられた弱点がありますよね。私も当該動画を見させていただきましたが、グロースハックをして何とか売上を伸ばしたというところが気になりました。本当に需要が大きいのであれば、頭打ちになるのが早すぎるというのは同感です。

    大学別のユーザーシェアなどは見られますが、ここらへんの伸びしろがどれくらいあるのか定量的なデータを見たいところです。私が学生の頃は、情報感度が高い学生が口コミで使っているサービスでしたが、現在はどの程度浸透しているのか・・・

    今後の伸びしろは新規事業に委ねられ、その確度をどの程度とするかが投資の分かれ目になりそうですね。

    ■中期計画について
    経営計画の伸び方について現実味がないとのことですが、どれくらいの成長率と見ていますでしょうか?

  5. 名前:すぽ 投稿日:2020/10/05(月) 12:15:23 ID:22357d9d1 返信

    toysさん、返信が遅れました。

    ■中期計画について
    2020実績と2021計画の内訳を見ると
    ・外資就活 7.5億→8.0億
    ・Liiga 0.8億→1.6億
    となっています。僕が2022、2023に線をのばすなら 

    ・外資就活 7.5億→8.0億→8.5億→9.0億
    ・Liiga 0.8億→1.6億→3.0億→4.5億
    ・その他 0億→0億→1.0億→2.0億(★不確定要素高め)

    という感じです。全体売上にすると
    ・全体売上 8.3億→9.7億→12.5億→15.5億

    という感じでしょうか。これでも結構楽観的なラインです。
    中期計画の伸びは、僕の理解していない隠し玉があるのでは思ってしまうようなレベルです。

  6. 名前:toys 投稿日:2020/10/12(月) 17:44:09 ID:03c2a09ca 返信

    すぽさん

    御返事遅れてすみません。
    中期経営計画の成長率についてはご指摘の通り、根拠が薄いものでした。確証が薄い以上そこを成長ストーリーの根幹とするには苦しいですね・・・

    ・全体売上 8.3億→9.7億→12.5億→15.5億
    とするとなると、成長率は16.8%⇒28.8%⇒24%となりCAGR23%、3年で2倍程度となると計算できます。売上と純利益はまた別となりますが、純利益を無理やり同程度の成長と仮定して理論株価を計算してみます。

    EPS38.4円(単20.1実績)は3年後に2倍の76円となるとし、PERを40と仮定します。
    株価=EPS×PERなので、理論株価は76円×40倍=3040円となります。そう考えると1.5倍程度のアップ再度は見込めると思っています。
    PER30とすると、2,280円となり現行株価(2,166円、10/12付)と大差はなくなります。PER20とすると、1,520円となりアンダーバリューになってしまいます。

    おそらくすぽさんはPER20程度と認識していると想像しています。PERをどの程度とみるか、将来的なEPSを幾らと想定するかで許容可能な株価は変わってきますが、この計算について見解を賜りたいです。

  7. 名前:すぽ 投稿日:2020/10/13(火) 12:51:02 ID:c77258425 返信

    toysさん、ありがとうございます。

    EPSやPERの算出方法や割安/割高の考え方については特に違和感はありません。
    ただ「利益率が同じぐらい」という想定が厳しいかなぁと思っています。

    特に気になるのは2022年度で、会社の中期計画では
    「売上15億円、営業利益 0.1億円」
    となっていますが、これが仮に僕の予想通り「売上12.5億円」という着地だとおそらく赤字になります。
    また2022には「知的共有プラットフォーム」が開始しているはずですが、これが軟調だったとすると2023の黒字化も危うくなります。

    もちろん新事業が計画通りに行けば大きな株価上昇も期待できますが、夢をかけるにはやや割高で、知的共有プラットフォームの成否を見てから入りたいなぁという見方をしています。

    いかがでしょうか。

  8. 名前:toys 投稿日:2020/10/15(木) 15:57:07 ID:b9da7d102 返信

    すぽさん

    バリュエーションの前提となる成長確度が不安定であり、投資タイミングではないこと承知しました。議論の余地は無いかと思われますので上記の認識で問題ないかと思います!

  9. 名前:すぽ 投稿日:2020/10/20(火) 09:38:47 ID:940fbe71b 返信

    toysさん、それでは結論を書きました。「中期計画と実力とのズレ」が埋まるのであれば面白い会社だと思います。

    議論ありがとうございました!