先日2196エスクリの企業分析依頼をいただきました。ブライダル業界の分析は全く行ったことがなく一からの分析でしたが、そのときのステップを書き留めたいと思います。ポイントは相変わらず「お金の入り口に目を向ける」です。
分析前の疑問
エスクリの分析を始める前の一番大きな疑問は、「縮小市場なのに、なぜエスクリは成長できているのだろう」という点でした。ブライダル業界は昔からある業界ですので、長い歴史の中で様々な戦いが行われてきたはずです。その中でなぜ新興企業が急成長しているのだろう。そんなことを考えていました。
エスクリのhpやIR資料をみると、「ブライダル業のコンサルをやります」、「縮小する市場を広げていくのが夢です」といった強気な言葉が並んでいます。急成長しており自信があるのはわかるのですが、一方で既存企業は本当にそんなにだらしないものだろうか。そんなことを思いながらお金の入り口に目を向けてみました。
お金の入り口に目を向ける
お金の入り口ということで、自分が結婚式を行う気分になりながらエスクリの主力式場「ラグナヴェール AOYAMA」のサイトを眺めました。天井が高く美しいチャペル、貸し切りにできる小さなハコ・・・なるほど、10年前の自分の世代の結婚式とはちょっと違うオシャレさがあるなぁ、などと思いながら自分なら式場をどう選ぶか考えました。
- スタッフの対応。これが悪いのは論外ですが、概ねどの企業も丁寧でしょうから決定打とはなりづらそうです。
- 値段。これも300万円も覚悟している中で、今更値段メインで決める感じでもありません。
- 料理。これも大事ですが、最近はどこも美味しいので差を付けるのは難しそう。
- 「おしゃれ感・目新しさ」。どうやらこのあたりが決め手になりそうです。「新しい建物」も心が弾みます。
もう一点。「自分は1カ所しか結婚式場を選べない」という当たり前のことにも気づきます。結婚式は約300万円という高額商品なのに関わらず、競馬で言う「ハナ差」でも1位に選ばれた企業が総取りしてしまう極端な商売だということです。
今回の例で言えば「他も悪くなかったけど、うーんやっぱりラグナヴェールかな」という感じです。そして、この行動を企業側からみるとラグナヴェールの一人勝ちになるということです。
これぐらい考えて、エスクリの成長の理由が腑に落ちてきます。様々な点で失点がないことが大前提ですが、「新しい建物」だけは古い企業に絶対にマネができません。ハナ差で勝てばよい市場で、このマネできない差が、勝負を決する強みになっているようです。
こうして、
「失点のない高い経営力」+「新しいコンセプト・建物」
というエスクリの成長の理由が見えてきました。
おまけ:その他考えたこと
- 出店拡大の上限。これはAKIさんが書かれている通りですね。
- ターゲット。いわゆる「結婚式」を望むお客さん。低価格指向のお客さんはターゲット外。
- 利益率。コスト意識が弱めのお客さんなので価格の叩き合いにはなりづらい。「ハコ」が埋まるかが全て。
- キャッシュフロー。営業CFも順調に増えており、粉飾的な動きは見られず安心。
エスクリの分析はどうもありがとうございました。
新しい記事も大変参考になりましたm(_ _)m
FPGのエントリが無かったのでこちらに書くのですが、
6月30日の夜に社長がTV出演するとのことです。
興味があれば観ては如何でしょうか。
現時点では市場に巻き込まれて大きく下げていますが;
増資の影響もまだあるのですかね?
私はもう資金がないので買い増しできませんが、
すぽさんには良い買い場なのでしょうか(^^;)