JRの品川-横浜間の料金(地理的独占の例)

JRの「品川-横浜」間は、特別料金で本来より安くなっていることを知っていますか。

  • 京急(品川-横浜) 290円
  • JR(品川-横浜) 280円(本来のルールなら380円)

通常、電車業界は地理的に競合する(2社以上でA地点からB地点に行ける)ことはあまりありません。線路を引くという壮大な投資をするわけですから、同じ区間にならないよう線路を引くのが普通です。
ただ、首都圏地区など地理的に密集しているところでは一部区間で競合することがたまにあります。「品川-横浜」間は、JRでも京急でも行けるためJRは京急に引っ張られて特別割引をしているのです。

たかが100円ではもちろんありません。JRは京急さえいなければ380円にしていたのです。仮にJRが「横浜-品川」間しか運営しておらず営業利益が5%だったとすれば、266円が経費(原価、R&D、SGA)営業利益が14円ですが、これが仮に380円で売ることが出来れば営業利益は114円つまり30%になるのです。

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値段のちょっとした変化は、お客さん側には大きな影響はありませんが、企業側には多大な影響があるのです。もし、机上の空論だと思ってしまう人がいたら、もう少し想像してみてください。京急がなくJRが380円で売っていたとして、あなたは移動をためらうでしょうか、一体どれぐらい乗客数に影響はあるでしょうか、原価にはどんな影響があるでしょうか。
競争が無いときには、世の中のイメージを超えた莫大な利益が生まれるのです。

参考:
なぜビジネスモデルを重視するのか①
なぜビジネスモデルを重視するのか②

ちなみに、投資という視点でいうと、JR東日本は、ビジネスモデル面は良いですが、成長面、割安面を踏まえるとあまり魅力的ではありません。
もちろん、莫大な投資が必要な上にA地点-B地点が同じ場所になる最悪の業界である「航空業界」より遥かにマシです。