企業分析:7618PCデポ(4.0)

夢見さん

お待たせしました、PCデポです。一緒に議論をお願いします。
■結論
儲からないPC商品売りから、月額払いのストック型のビジネスモデルへ見事変身。利益も成長も、売上全体の40%を占める「サービス」が創出するようになった。
「サービス」の成長は20%ペース、株価も割安でA→Sに近い。3.5に近い4.0。

■基礎情報
GMOクリック証券の分析を使います。

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IR情報など
アナリストレポート

■ポイント
Step1:業績の確認
・売上は横ばいでパッとしないが、営業利益が急上昇。営業利益率も7%近くまで上昇。→短期的?継続的?
・B/Sは普通。自己資本比率は50%を超えているものの、キャッシュが少なく売上債権などの費目が大きい。C/Fも営業CFは今年度マイナス。

Step2:事業の確認、ビジネスモデルは
・PC小売業。決算資料を見るとSLP(スマートライフパートナー)化という言葉が並び、商品販売ではなくサービスというセグメントが急成長していることが分かる。
・SLP化とは、PC等・サポート・通信などを一括でフォローするサービス。このサービスは月払いで利用でき、例えばiPad miniは毎月700円でサポート付きで利用することができる。要するに、売切り→ストック型にビジネスモデルを転換してきたということ。この変化が収益面に大きな影響を与えている。

Step3:株価の確認

予想PER 15.4で比較的割安

夢見さんに質問
①サービスセグメントは今後どれぐらいのペースで伸びると思いますか?
②サービスセグメント単独での営業利益率はどれぐらいだと考えますか?
③その他、聞きたいことなどがあればどうぞ

『企業分析:7618PCデポ(4.0)』へのコメント

  1. 名前:夢見 投稿日:2015/07/26(日) 09:47:14 ID:80ce32e23 返信

    まず①のサービスセグメントの伸びですが、市場規模を予測するためには有料会員数の潜在規模が良いと思います。このサービスの普及率やピーシーデポの会員数(サービス)が明らかにされていません。なので、正確に近い現在の市場規模を予測できないと思っています。潜在規模はパソコンの扱いが不安な人口が当てはまると思います。ただ、この比率を調査したものが見当たらないので大雑把に65歳以上の人口の割合で求めるとだいたい1000万となります。ただ、65歳以上でも不安じゃない人もたくさんいらっしゃると思うので半分の500万~300万あたりが潜在規模だと思います。
    次に現在の市場規模ですがピーシーデポの会員数はシェア25%程度程度と仮定します。(パソコン等の修理件数が国民のパソコン保有台数×故障率の台数に占める割合で求めています、参考程度の数値です)ピーシーデポの会員数を求めるのであれば
    (サービス売上-(修理件数×修理単価)-(インターネット関連利用者×単価)÷有料会員単価
    なのですが、困ったことに単価の部分がわからないです。
    また大雑把な仮定ですが修理単価は5000円・有料会員単価は1500円程度と思います。(有料会員の単価は知恵袋の投稿を参考にした)
    この場合のピーシーデポの会員数は186万人となります。
    この場合、市場規模は成長しないということになります。
    ただ、サービスの売上の会員以外の部分は修理だけえはないので会員数はこの数字より少ないと考えるのが正しいでしょうが、それほど潜在数が多くいるとは思えません。
    そのほかに成長する要素があるとしたら新たな機器のサポート、パソコンの性能向上停止・鈍化による使用期間の長期化というところでしょうか。(中古パソコン)
    そのほかにもインターネット回線の小売に参入しています。
    ただ、どちらにしてもそれほど多くの成長が見込めるとは思えないです。
    年率3%、多くて5~7%程度というところでしょうか。
    ただ、PCデポは関西に出店していないので新規出店余地は大きいとも言えます。
    ②次にビジネスセグメントの利益率ですが、5~7%程度なのではないかと思います。
    一度会員になるとその会員料はほぼ自動的に支払い、会員になったぶんサービスを安く請け負ってくれる。一度囲い込んだお客は、不満がない限りとどまってくれると思います。(会員を脱退・違う会社のモノに乗り換えるのは面倒で嫌なものですし、相手の会社の安心度が大手のPCdepoより上か判断するのは難しいと思います)
    ③最後に聞きたいことについてですが、つい最近までパソコンのサポートなどでどれくらいの売掛債権が生じるのか、目安や比較対象がないのでサービス部門が伸びたので売掛債権が伸びたという会社の発表を信じていたのですが、似た業態である”日本PCサービス”の売掛債権の売上高比率は5%で済んでいます。PCデポの売掛債権の増加・多さについてすぽさんはどのようにお考えでしょうか?

  2. 名前:すぽ 投稿日:2015/07/26(日) 12:55:16 ID:1c4741706 返信

    夢見さん、ありがとうございます。
    全体的に私より悲観的な見方だと感じました。私はこの企業に対してかなり良い印象を持ちました。
    ①、②について
    これまでのサービスセグメントの成長実績は以下のとおりです。コンスタントに20〜30%の成長を遂げており今後も同程度の成長が期待できるのではないでしょうか。また、会員数ですが、夢見さんが書かれているように平均利用料が月1,500円だとすると、年18,000円となります。サービス売上の7割が継続利用系の売上だとすると、会員数は100万人弱と推定できます。成長余地を意識するレベルではないかなと思っています。
    2015 197億 +121.4%
    2014 162億 +128.7%
    2013 140億 +121.1%
    2012 116億 +132.5%
    2011 87億 +127.1%
    そしてサービスの営業利益率ですが10%程度はあるのではないかと考えています。利益率は「商品」<「サービス」なのは明らかですが、商品が3%とすると商品セグメントの営業利益は9億となり、営業利益合計31億円から考えるとサービスで22億円、つまり概ね10%となります。
    また、中期目標で営業利益率10%を目指すということあたりからみても概ね一致します。粗利についても説明会Q&Aの中で60〜70%という情報があり、利益はやや楽観的にみても良いのではないでしょうか。
    http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=ir_material_for_fiscal_ym&sid=17217&code=7618
    ビジネスモデルの安定性は夢見さんと同じです。いわゆるストック型であり、加入者側も切り替えが面倒かつ価格反応性が弱まるため高収益になります。
    ③について
    売上債権が100億円とのことですが、サービス売上のちょうど半分ぐらいになります。基本的には3年分の月割払いのようなので、これぐらいの大きさになるのは自然かなと思っています。リース業と同じですね。例として出された日本PCサービスは、ネット接続契約や修理が中心なので「商材が違う」と判断するのが自然かなと思います。
    ①②について意見がわかれているようなので、もう少しすりあわせたいですね。よろしくお願いします。

  3. 名前:夢見 投稿日:2015/07/26(日) 14:32:02 ID:80ce32e23 返信

    そうですね、会員数については計算ミスですね。
    問題はピーシーデポ以外でこういった会員制サービスを提供している会社がどのくらいなのかということかもしれません。
    利益率に関しても計算ミスで10%程度出ると思います
    ③についても最新の決算説明要旨に3年割賦だと述べられていますね。
    そう考えるとこれぐらいの売掛金はありえなくないです。

  4. 名前:すぽ 投稿日:2015/07/26(日) 18:38:10 ID:103060988 返信

    夢見さん
    議論のポイントになりそうなのは「営業利益率10%の根拠」あたりでしょうか。私からはもう一つ「サービスビジネスの筋の良さ」の話もお伝えできればと思っています。
    ■サービスビジネスの筋の良さ
    私はこのPCデポのビジネスモデル転換は、MBAでのケーススタディになるようなユニークな例だと思っています。
    今のPC環境は基本的に技術ありきで設計されており、ユーザー視点が弱いと思っています。ネットの設定なんか本来誰もやりたいわけがありません。
    PCデポは、
    「PCとモバイルルーターを設定サポート付きで」
    「読売新聞webとiPadAirを設定サポート付きで」
    「スマホとMVNOを設定サポート付きで」
    など、面倒はPCデポにお任せというサービスを提供しています。そして価格は毎月払いで使い、3年後に返却するかいくらかで買い取るか選択することになっています。
    高齢者だけではなく、10万円は出したくないけど、月額3,000円ならといったニーズもうまく汲み取っています。
    一方、企業側から見るとストック型ビジネスは非常に大きく、3年後も新機種に乗り換えてもらえれば労せず売上が積み上がります。また3年で計算すると安くない価格で販売できており商品販売とは利益レベルが違います。
    ■営業利益率10%の根拠
    夢見さんから分析依頼を受けた時にも書きましたが、実家の近くにPC Depotがあり「儲からなそうな店だな」と思った記憶があります。大型家電量販店がある中でそれほど大きくない店がモノ売りで儲かるわけがないのです。2015も商品セグメントは減収です。これで3%あれば優秀なぐらいです。
    もう少し過去にわたって分析をしても良いですが、商品=0〜3%、サービス=10%程度として計算すればおそらく全体の業績に一致するだろうと見ています。
    長くなりましたが、文字通り「ビジネスモデルの転換」ができた企業で、お客さんの満足を得て成長できる状況になっていると見ています。
    いかがでしょうか。

  5. 名前:夢見 投稿日:2015/07/26(日) 20:21:57 ID:80ce32e23 返信

    そうですね、その分析は間違っていないと思います。
    私は関西に住んでいるのでPCdepoの実店舗を見ていないので、店舗を見て判断はできませんが近くに有る大型の家電量販店に比べて行きたいのか?と問われると答えに窮するでしょう。それにそもそも家電を売るというビジネスで小売店が儲かる仕組みを作るのは売ること自体だけでは高い利益は出せないと思います。参入障壁が低いほうですから。よい業態変化を遂げたと思っています。
    成長に関しても、企業として成長できる状態だと思いうのは同意見です。
    潜在規模のある程度正確な数値が出ないのが個人的には残念に思っています。
    最後に、売掛金についても実際に計算してみましたが45~60%程度が適正と数値が出ました。ご指摘は正しかった。
    (この部分を一番気にしていました)
    いい議論をありがとうございます。

  6. 名前:すぽ 投稿日:2015/07/26(日) 20:50:10 ID:103060988 返信

    夢見さん
    結論を書いてみました。ビジネスモデル中心に議論をしましたが、成長・割安の基準で見るとA→Sに近いと見ています。
    問題無いようなら確定したいと思いますが、いかがでしょうか。

  7. 名前:夢見 投稿日:2015/07/27(月) 07:24:16 ID:3e371a7e1 返信

    はい。
    どうもありがとうございました。