ここまでビジネスモデルを中心に色々な企業分析をしてきました。ビジネスモデルを分析するには、ちょっとしたコツがあると思っています。大切なのは「お金の入り口に目を向ける」ことです。
掲示板でやり取りしていて未分析になっていた「6073アサンテ」を例にして説明します。
アサンテはシロアリ駆除を中心とした企業です。PERが極めて低く(8.8)、業績面でも増収増益を重ね非常に安定しているため、多くのブロガーに支持されている銘柄です。この企業の「ビジネスモデル」を分析します。
1.疑問を持つ
まず最初に、私がこの企業を見て疑問に感じたのは営業利益率の高さです。営業利益率は15%程度あり、シロアリ駆除という割と参入しやすそうな業態なのに、価格競争が激しくないことが不思議でした。そんな気持ちを持ちながら、お金の入り口に目を向けます。
2.お金の入り口に目を向ける
お客さんはアサンテにいつ、どれぐらい、どんな気持ちでお金を払っているのでしょうか。まず金額の確認です。ネット等で調べると、シロアリ駆除は一坪8,000円ぐらいが相場のようです。25坪だと20万円ぐらいです。自分が家を持っていたとしたら、それぐらいならまぁ払えそうです。
次に、シロアリ駆除をしたいと思っている人は、何を基準に選び、どんな思いでお金を払うかを考えます。
そうすると、この市場には「リフォーム詐欺」なるリスクが存在することに気づきます。シロアリ駆除は、自分の大切な家のことなのに、調査方法も修繕内容もよくわからず、業者に一任せざるを得ない依頼になります。
こういう状況で、一番大切になるのは、価格ではなく信頼であることに気づきます。できれば一番有名なところなど「明らかに失敗しない」選択をしたいと思うでしょう。
で、価格は20万円。まぁ、大切な家のための出費ですからそこは仕方ないという金額に見えるでしょう。この辺りで、営業利益率が高い理由が見えてきます。
要するに「アサンテ 20万円」と「名の知れぬ業者 16万円」だとしたら、多くのお客さんがアサンテを選び、この価格差が利益率を高めている、ということです。
シロアリ駆除市場は、お客さんのリスク回避指向が非常に高いために競争にならない、いわば「リスク回避型」のビジネスモデルと言えます。
ということは、この市場で強いのはNo.1の企業や、名の知れた住宅メーカーなどが参入した場合ということも想像できます。さらに考えると住宅メーカーがシロアリ駆除には入りづらいでしょうから(自己否定的ですので)、現実的にはアサンテはよいポジションに居続けるであろうことが見えてきます。
こんな感じで、お金の入り口に目を向けることで、そこに起こっている競争環境、そしてビジネスモデルが見えてくるのです。
ちなみに、アサンテの評価は3.5。企業成長力がやや弱いため、B→Aに近いという印象です。
中長期投資さん、中断してしまいましたが2151タケエイ分析できました。普通の企業が復興特需で業績拡大しただけという印象です。2.5です。
タケエイは廃棄物の収集・処理などを中心とした企業です。震災で大量の廃棄物が発生したため、復興需要をストレートに享受できている企業です。
ビジネスモデルは取り立てて思いつきません。強いて言えば、廃棄物リサイクル事業の営業利益率が高く(30〜40%)、目を引くのですが、リサイクル事業の売上比率が小さいため成長を牽引する要素にはなりません。株価は来期PER12.5。下落トレンドで割安です。
個人的には、復興需要銘柄に興味が持てません。上がって下がることが見込まれる株は怖いと思っています。