■結論
安定的で強固なSaaSビジネスを持つ良い企業だが、M&Aしたデザインサービス事業の大失速により「過度な期待水準」から「通常期待水準」まで株価が調整されている。時価総額は90億円なので、仮に「営業利益5億、純利益3億」とするとPER30という株価水準となる。これ以上の成長を見込めるかどうかが判断のポイントとなりそう。評価は3.0に近い3.5。
■基礎情報
GMOクリック証券の分析を使います。(セグメント情報はマネックス銘柄スカウター)
■ポイント
Step1:業績の確認
・売上は2015年14.5億→2019年34.8億と倍増。2018にデザインコンサル会社のM&Aによって大きく成長。
・営業利益率は2019で10%程度。直近決算(2020-3Q)はデザインコンサル会社が不調で利益ゼロ水準まで落ち込む。
・B/Sはキャッシュも多め。M&Aののれんあり。
Step2:事業の確認、ビジネスモデルは?
・データ連携ミドルウェア(ASTERIA)、クラウドマニュアル連携システム(handbook)などを主力とする。ASTERIAは国内シェア1No.1、ライセンス型からサブスク型に移行中。
・デザインコンサルが今期売上半減。重要顧客二社の案件延期の影響。
会社計画ベースでPER52.0。
■かてかてさんへの質問
①今後5年の成長イメージについてどのように考えていますか
②会社の強み・弱みについてどう考えていますか
③その他聞きたいことがあればどうぞ
1 今後5年の成長イメージについてどのように考えていますか
日本で販売する4製品については順調に利益を上げるものと考える。
主力製品アステリアワープ、ハンドブックは数%程度の成長を維持すると予想。
グラヴィオ、プラティオは市場開拓段階、5年後にようやく利益が得られる程度と予想。
デザイン事業は主要顧客Tモバイルが合併承認を得られたことから売上回復を見込む。
なお、アステリアビジョンファンド(投資子会社)は上手くいかないと予想。
2 会社の強み・弱みについてどう考えていますか
(1)強みと考えること
ア 情報発信力
youtubeでの情報発信、ツイッター、オウンドメディアの活用など情報発信が盛ん。
イ 行動の早さ・速さ
潜在的な需要を開拓することでシェアを獲得できている。
ウ 社会環境の変化
RPA、リモートワーク、バーチャル株主総会など、時勢に適した活動をしている。
(2)弱みと考えること
ア コーポレート本部(人事・経理)が弱点
明らかに人手が足りていない。人を雇う体制が整っていない。
イ 公式HPが低レベル
HPがIT会社と思えないほど雑。ミスを指摘しても改善が遅い又は改善しない。
ウ 自社製品や自社技術を積極的に運用しない
為替差損1億円計上するまでアステリアワープを使わなかったコーポレート本部。
セールスイネーブルメント・ワークログを使えていないマーケティング部。
自社製品・技術を用いれば上手くいくはずなのに利用していない部門が多い。
エ グローバル事業推進室が解体後、様々なものが無責任に放置されていること
グローバル事業推進室が解散後、英語版HPが「infoteria」のまま放置されている。
海外子会社への連絡も担当が定まっていないなど不明瞭な状況が続いている。
このような状況で海外子会社とうまく連携できるとは到底思えない。
(3)会社の強み・弱みについてどう考えるか
技術系の社員が多く、新しいものを生み出す力はあると考える。
コロナの影響によるテレワークの普及や5Gが会社には追い風になると考える。
ただ、杜撰なHP管理や株主対応が嫌で投資をやめたいと考えているもの。