最近気になっているCMとはいえば何といってもハズキルーペのCMです。
(できれば動画を見ることをおすすめします:YouTube)
「新聞も企画書も小さすぎて読めないッッ!!!!」
ハリウッド俳優渡辺謙さんの大激怒から始まり、その怒りに圧倒されていると、今度は流れるようにセクハラまがいの行為。「え、え、なにそれ?」と思っていると、セクハラなど全く無かった体で、菊川怜さんが満面の笑顔で「ハズキルーペ、だーいすき♥」と謎の三文芝居。60秒間スキがない傑作CMです。
このCMを作った人への感謝の念を込めて、投資ブログらしく「ハズキルーペのビジネスモデル(戦略)」を考えてみたいと思います。非上場のため情報はほとんどありませんので頭の体操のつもりで推測で考えていきます。
■10,000円という価格から始まるビジネス戦略
ハズキルーペのビジネスの中で一番気になるのは「10,167円(税抜)」という価格設定です。この価格は絶妙で、買う側からすると「良い品なら買いたいなぁ」と思える値段である一方で、原価面では単なるルーペですのでかなり余裕がありそうです。(どんなに原価をしっかりかけたとしても2,000円ぐらいではないでしょうか)
Amazonで「拡大鏡 めがね」で調べると、ハズキルーペ以外は軒並み1,000円ぐらいで、眼鏡の上から使えるタイプでも3,000円ぐらいですのでこの推測は概ね妥当と言えそうです。
要するに「一般的な拡大鏡」を「10,000円の高級ハズキルーペ」とするために魅惑的なCMを打つ。これがハズキルーペのビジネス戦略の骨格になります。
■収益構造をざっくり分析
収益構造は推測するしかないのですが「①広告費は5年50億円」「②累計販売本数は250万本」という情報を見つけました。ここから「1本あたりの広告費は約2,000円程度」と推測できます。
あとは、普通のビジネスなら・・・という感じで作ってみたのこのグラフです。
10,000円の商品で2,000円の原価だとやはりだいぶ余裕があり、営業利益率28%、営業利益は10億円という推測ができました。
この事業はもともとタカラトミーの中にあったものらしく、「プリヴェ企業再生グループ」という会社が買収してからこの戦略がスタートしたようです。この企業のどなたが描いたものなのかはわかりませんが、3,000円のルーペを見て「10,000円でたくさん売れる」と考えるそのセンスには尊敬の念を感じます。
もちろん今後は模倣などが予想され、苦しくなる可能性はありますが、今はこの世の春が訪れているような状況でしょう。というわけであらためて、
「凄いぜ!ハズキルーペ」(渡辺謙さんの声で)
あれは良くできたコントではなかったのですか?(笑)
世界の渡辺謙を使ってまで高値で売り込んで来る辺りは結構な戦略家ですよね。
渡辺謙も今回のCM出演をよく承諾したとは思いますが、あの熱演ぶりを見ると追加の出来高報酬でもあるのかな?なんて勘ぐってしまいますね。