鎌倉新書の議論の中で個人的に気になっていたテーマがあります。
プラットフォーム型のビジネスモデルには、1社独占の力が強く働くものと弱く働くものがあります。鎌倉新書が弱い方に属するのは感覚的にわかるのですが、一体何が強弱を決めているのでしょうか。まだ完全ではありませんがある程度まとまったので記事にしてみます。
プラットフォームには強弱がある
様々なプラットフォームの強弱を一覧にしてみました。強いプラットフォームとは基本的に一社独占になってしまうもの、弱いは複数のプラットフォームが共存できるようなものです。
「強い」例にはMSオフィス、LINE、DVDなどがあります。MSオフィスについては過去にも記事にしました。無料 vs 15,000円でも勝ち残れるほどの強大な力をプラットフォームが生み出しています。
「弱い」例には人材系(就職、バイトなど)やぐるなびなどの飲食系があります。これらのサイトはプラットフォーム型なのに関わらず複数のサイトが共存できています。
Amazonやヤフオクなどは概ね独占ということで、この中間に位置しそうです
欲しいものがそのプラットフォームにしか無いと依存度が強まる
こうして並べてみると強弱の理由がなんとなく見えてきます。欲しいものがそのプラットフォームにしかないかどうかがポイントになるようです。
「強」の例であるLINE、MSオフィスは、そのソフトが欲しいもの(メッセージ、資料)を生成しているという特徴があります。ですのでソフトを使わなければ欲しいものを手に入れることができません。この構造によって「プラットフォームを使わざるをえない」状況が生まれるというわけです。
逆にLINEに似ているのにプラットフォームにならないのが電子メールです。電子メールは規格が決まっているので1つのメールソフトに収斂する要因がありません。
「ソフトが生成する情報を手に入れるために、そのソフトを使うしかない」
これが強いプラットフォームを生み出す特徴になります。
次に、中と弱の違いを考えてみます。例えば Amazonと人材系サイトは何が違うのでしょうか。
どちらもプラットフォームが規格を生み出しているわけではありませんのでLINEやMSオフィスとは違います。中と弱を分ける理由は「お客さんが欲しいものが明確か否か」の差です。
Amazonは買い物サイトですので基本的に欲しいものが決まっています。この場合サイトには「品揃え」が求められ、商品は基本的に多ければ多い方がよく、いわゆるロングテールへの対応がサイトの強みになっていきます。ヤフオクもこのタイプです。
一方で人材系サイトの場合、そもそも「欲しいものが曖昧」という特徴があります。ソフトウェアエンジニアやアルバイト要因(元気な人)など、いざ採用してみても「結局この人でよかったんだっけ?」となるぐらい曖昧です。お見合い、結婚式、飲食店、M&Aマッチング、葬儀などが同じカテゴリーに入ります。
この分類は今後のプラットフォーム型のビジネスモデル判定に役立ちそうです。まだ完全なバージョンじゃないので気になる点などコメントをいただけるとありがたいです。
すぽさん、
いつもながら、重要なテーマへの鋭い切り込みに感銘を受けます。この掲示板で議論が深まることを大いに期待します。
ご記載の内容に既に織り込み済みかと思いますが、ネットワーク外部性の強さは、やはりポイントの一つでしょうか。
プラットフォーム自体の良し悪しの話では無いため、筋違いでしたらご容赦下さい。