ビジネスはお客さんにどんどん近づく

日吉っ子さんからコメントを頂いて、前から書こうと思っていたことを思い出したので記事にしてみます。

企業を取り巻くステークホルダーには、株主、経営者、社員、お客さん、地域社会など様々な人たちが居るわけですが、この中で最も強いのは「お客さん」です。お客さんだけがお金を払っていて、それ以外の人たちはみんなお金を貰う側にいるだけだからです。
ですので、ビジネスの変化とは「お客さんにどんどん近づく(便利になるなど)」というのが原則です。なんとなく当たり前のような話ですが、この考え方はビジネスの変化を捉える上で重要です。


■お客さんにどんどん近づく
お客さんにどんどん近づくという考え方はどのビジネスにも当てはまるのですが、私の好きなプラットフォームビジネスで考えてみたいと思います。

例えばゲーム機、音楽/映像メディア、オークションサイト、メールは以下のようにプラットフォームが移り変わってきました。

図1

プラットフォームはもともと変化したがらない性質がありますが、テクノロジー変化がコア機能に大きく影響する分野では定期的にプラットフォームが入れ替わります。新しいプラットフォームが大容量・高画質・高品質なもの楽しめるためお客さんが新プラットフォームを支持するようになるためです。上記例の中では、ゲーム機や電子メディアのプラットフォームがこれにあたり、数年に一回ぐらいのペースで入れ替わっています。

このようにゲーム機などが定期的に入れ替わってきた一方で、ヤフオクやeメールは20年以上プラットフォームが変化してきませんでした。これはコア機能がテクノロジーの変化と直結しないためです。
その2つにも遂に変化の時がやってきています。

ヤフオク→メルカリという移り変わりは、スマホの拡大を契機として、

・スマホで簡単
・フリマ型で簡単
・配送手続きも簡単

というヤフオクを超える便利さを作ることで、今までヤフオクを使わなかったような女性などを取り込みながらプラットフォームを移行させることに成功しました。

eメール→LINEという移り変わりも、スマホをきっかけとして

・リアルタイムでやり取りできる
・入力が手軽(ひとことやスタンプだけでOK)
・タイムラインが見やすい

といった便利さで、消費者市場を席巻しました。

ビジネス市場ではまだまだeメールが活用されていますがこれも時間の問題です。Slackというビジネス向けチャットシステムが急成長しており、マイクロソフトもTeamsというソフトで対抗し始めています。どちらが勝つかはまだ予断を許さないところですが、プラットフォームが次世代に変化することは間違いない状況です。
「ビジネスの世界ではチャットなんか流行らない」なんて思っている人が多かった気がしますが、結局はお客さんに近づいていくものなのです。

■人材マッチング市場はどうなる
日吉っ子さんがコメントの中で人材マッチング市場の未来について深い洞察をされていましたが、これも「ビジネスはお客さんに近づく」という考え方をベースにすると理解できると思います。
注目すべきは常にお客さんであり、仕事を探す人の動きをよく考えると、以下の4つぐらいしか入り口がないことに気づきます。

図2

例えば私の保有企業の「じげん」は、Google(②、③-B)に誘導してもらうというビジネスが主力で、リジョブなどは個別サイト/アプリで強さを持っている状況(①-A)だとわかります。日吉っ子さんは、今後はIndeedなど集約サイトや、定常利用アプリからの誘導、知人からの紹介といった変化が起こるとおっしゃっているということです。
一つのパターンに収斂するとは考えづらいですが、この中で強弱が変化する可能性は十分あります。一方でお客さんの基本的な行動パターンが変わらない限り「この4つの行動から外れた未来」は考えづらいこともわかります。


お客さんを観察する。ビジネスはお客さんに近づく方向に動く。

こんな思考の癖を持つと、色んな所に応用できそうです。