A→S戦略が「ウォール街のランダムウォーカー」の中にありました

「ウォール街のランダムウォーカー」は言わずと知れたインデックス派の教典とも言える名著です。投資初期に読んで以来久しぶりに読み返したところ、私の投資戦略(AS戦略)に酷似した投資法が載っており驚きました。


著書全体としては、テクニカル派の否定やファンダメンタル派への懸念・疑義など、データに基づいた厳しいツッコミが繰り広げられ、「結局インデックスファンドが合理的でしょう」という主旨で進むのですが「でも私が投資するなら」ぐらいのトーンでさりげなくこの投資法が書かれていました。

成功するための3つのルール
①利益成長率が今後5年以上にわたって市場平均以上の銘柄を買うこと
②株価がファンダメンタル価値以上になっている銘柄に手を出すな(そこそこの値段の株を買え)
③投資家が「砂上の楼閣」を作れるようなストーリーを描ける銘柄を探そう

成長株を見つけ出すのは非常に困難な仕事である。しかしそれこそが投資にとって重要なポイントなのである。継続的な成長は、利益と配当の増加をもたらすだけではなく、その銘柄の株価収益率(PER)も上昇させるだろう。急速な成長の初期にその銘柄を購入した投資家は、利益の増加と株価収益率という二重の恩恵に浴するチャンスが得られるというわけだ。

このブログを読まれている方なら感じられると思いますが、これは私のブログでいうAS戦略そのものです。③については私としてはこだわっていませんが、Sクラスでビジネスモデルが優秀な株を選ぶこと自体が結果的に「砂上の楼閣」を生む要因になると考えることはできます。
グレアムさんのバリュー投資など様々な投資スタイルがある中で、インデックス派の教祖とも言える方がグロースを支持しているのはなんとも意外でした。

というわけで、、、

「なーんだ、マルキール先生も実はこっち側じゃん」

などとふざけたまとめで締めたいと思います。

『A→S戦略が「ウォール街のランダムウォーカー」の中にありました』へのコメント

  1. 名前:ペンタ 投稿日:2016/05/31(火) 07:03:32 ID:204cafde8 返信

    すぽさんお久しぶりです
    すぽさんとランダムウォーカーって相性がすごく悪そうな組み合わせですが、今回はどういうきっかけでその本を手に取ったんですか?
    マルキール氏の理論はプロがたくさん跋扈している大型株(特にアメリカ)には当てはまりそうですが、個人投資家が主な戦場(マザーズ等)の場所ではperの拡大戦略が比較的有効な気がします

  2. 名前:すぽ 投稿日:2016/05/31(火) 08:35:10 ID:589fc6ab0 返信

    ペンタさん、ありがとうございます。
    正規分布をベースにした今の投資理論を再確認する意味でこの本を読んでました。
    私は正規分布をベースにした今の投資理論をあまり信頼していません。
    例えば「株価が半分、業績が同じ」というような状況になっても期待リターンが基本的に変わらないというのは意味がわかりません。
    また、たまにある●●ショックは正規分布ではなく明らかに「べき分布」の動きをしていますが、その視点を捨て続けていて、リスク管理の点でも不十分です。
    「で、マルキールさんはここをどう考えてるんだっけ」
    なんて思って本を開きました。ざっと目を通した感じでは答らしいものは見つかりませんでしたが。
    記事にもさらっと書きましたが、マルキールさんご自身としては個別株のA→S投資をされているように見えましたよ。

  3. 名前:遅咲きの桜 投稿日:2016/06/01(水) 15:31:39 ID:69f9b4b23 返信

    はじめまして。いつもブログ拝見させていただいております、遅咲きの桜と申します。
    すぽさんから「ウォール街のランダム・ウォーカー」の書評が出てきたことに少なからず衝撃を受けてコメントさせていただきました。
    「ウォール街のランダム・ウォーカー」は「敗者のゲーム」と並んで、インデックス投資のバイブルと言われていますが、どちらも著者が投信会社や資産運用会社のお偉いさんであることから、非常にバイアスのかかった情報だと思っています。
    『急速な成長の初期にその銘柄を購入した投資家は、利益の増加と株価収益率という二重の恩恵に浴するチャンスが得られるというわけだ。』
    これは確かにグロースの肯定と受け取れますが、その後に続いて
    『(成長株で高PERの銘柄の)成長が実現しない場合には利益の低下とPERの低下というダブルパンチを食らう』と書かれていますね。
    立場上、手放しでグロースを認める訳にはいかないのでしょうか・・・(笑)
    すぽさんは上記の成長が実現するかどうかを「ビジネスモデル」で評価していて、自身で予測できる部分(景気動向などは予測できない部分)で高PERであっても躊躇無く投資をされているのが私には真似できず、驚嘆させられます。
    ただ、どちらにも書かれている『無駄な売買は証券会社への手数料と支払う税金が多くなって複利の効果が半減する』という基本的な部分には概ね同意です。
    あと余剰資金での投資もしくは自分自身の状況に応じた資産配分など、そういった自分自身の投資方針を決めるということも大事だとは思います。
    ただ、何も考えずにインデックスだけ購入する、といった部分には同意しかねます。
    上記の『ウォール街のランダム・ウォーカー』は私のような投資初心者にはおススメなのかもしれませんが、書かれていることをそっくり鵜呑みにするといつまでも投資家として成長しないジレンマを抱えそうな書籍だと思いました。

  4. 名前:すぽ 投稿日:2016/06/01(水) 18:09:54 ID:589fc6ab0 返信

    遅咲きの桜さん、ありがとうございます。
    私が気になったのは「あの本には成長株投資の話は蛇足なのに、なぜ書くのか」という点です。成長株投資肯定はインデックス投資の否定にもつながりかねませんのでそもそも書く必要がありません。それでも書くのは「ニュートラルでありたい」という意志と成長株投資を認めているからであるように私には見えました。
    また成長を見誤ったときの危険性は私の記事でも触れています。成長株投資最大のリスクですね。
    高PERを許容できるのは成長株投資だからです。高成長ならPER20は許容できます。「EPS成長こそが株価の上昇」なのであれば、平均以下の成長率の株を集めても平均以下の成績にしかなりませんので、少し背伸びしても成長株を選ぶしかないぐらいに考えています。
    また、ビジネスモデルが成長を担保するというのは少し認識が違います。
    成長は「ニーズ」が決めるので最重要はニーズです。ビジネスモデルは利益率を決める(安定した利益を生む) ものだと考えていますので、2番目です。
    「成長、ビジネスモデル、割安」基本的に全て揃えるべきですが、重要度はこの順番です。
    「アクティブファンドに期待しても概ねムダだよ」というこの本の基本的主張にはもちろん同意しています。