おいしさを影から支配する、優良企業
カンブリア宮殿で、とてもユニークな企業を紹介されていたので分析します。
アリアケジャパンは「天然素材(魚・肉など)だし」事業を中心とする企業であり、強烈な強みを持つ企業です。いつもどおり分析していきます。
Step1.業績の確認
GMOクリック証券の分析を使います。Valuation Matirixが使いづらいのでこちらを使っています。
- 営業利益率は15%~20%と高収益。ほぼ無借金経営。
- 売上・営業利益の成長は15%程度で、順調
- B/S、CFから、設備投資が多い企業であることがわかる
Step2.ビジネスモデルについて
ビジネスモデルは「技術独占型」と呼ぶのが良さそうです。料理にとって「だし」が命なのは言うまでもありません。アリアケジャパンは「どんなタイプのだしでも低価格で大量生産できる」という魔法のような強みを有しています。
TVでは有名ラーメン屋さんのスープベースを提供する例がありました。スープベースづくりは丸一日かかるような手間暇かかる作業ですが、この店が海外に進出するにあたり、現地社員ではその手間暇に耐えられないということで、スープベースをアリアケジャパンが提供することになりました。ラーメン屋の社長はアリアケジャパンがつくったスープの味見をして「ウチのスープより美味しいかも」と大絶賛でした。
私はこの映像を見て大きな衝撃を受けました。アリアケジャパンは有名ラーメン屋レベルのおいしさをコピーし、どのお店・企業よりも安く大量生産できるのです。
当然、日本中の食品メーカーからの依頼は引く手あまたです。数年前にはアリアケのだしを使うと売上が伸びるということで、カレールー戦争(熟カレー、こくまろ)の主役となったこともあるようです。この企業は日本の食品のおいしさを支えており、言い方を替えると「支配している」といえるほどの強みを有しています。
市場拡大余地もまだまだ広大です。海外からも引き合いが始まりましたし、初めての最終製品の提供も始まりました。その製品とは、なんとセブンイレブンの金のプレミアムシリーズ「金のビーフシチュー」です。セブンイレブンの商品開発・厳選レベルが日本トップクラスであることに異論はないと思いますが、そこで「初めての製品」で選ばれるのです。最終製品メーカーに変貌することも、本来難しくありません。(もちろん会社の体を変えるという内部的な大きなハードルがありますが)
一点、成長面でいうと、企業の大きさは売上300億円を超えて、やや大人の体格になってきました。ここから先は3割成長とまではいかなそうです。
Step3.株価の確認
(2014年7月23日現在)2,660円、来期PER16.7、PBR1.47
2,700円で、9%程度購入
成長角度はSランクとは言えず少し物足りないですが、独創的な強みに心を惹かれてしまいます。評価は3.5に近い4.0となりますが、長期視点(5年以上)での投資として、PFに入れたいと思います。
いつも楽しく拝見させていただいています。
アリアケジャパン僕も以前からチェックしていたのですが、尻込みしていました。オンリーワン企業で高い営業利益率を上げていますね。
扶桑化学も同様にニッチで優位を築いているようにみえ優秀な企業と思います。すぽさんいかがでしょうか?