企業分析:3277サンセイランディック(3.5)

田舎の司法書士さん

お待たせしました。それでは3277サンセイランディックです。よろしくお願いします。

■結論

底地の権利調整という面倒で時間がかかるビジネスを主力とする。競争激化になるシナリオはあまり想定できず安心感がある。成長については相続ニーズの増加が見込め大きな意味では好環境に身を置くが、案件化にエネルギーがかかるためか成長は穏やか(+8%程度が軸)。
案件の進捗によって売上(利益)がブレがちなのが注意点。株価は安い。評価は3.5。


■基礎情報

GMOクリック証券の分析を使います。


plv_3277_5


bs_3277_5

・その他IR資料など

まるのんさんブログが詳しい

■ポイント

Step1:業績の確認

・売上はやや凸凹ながらも右肩上がりで7~8%程度の成長。営業利益率は10%程度

・売上債権や短期借入金が多め。自己資本比率は5割程度。

Step2:事業の確認、ビジネスモデルは?

・不動産の権利調整ビジネスを中心とする。底地・居抜きと呼ぶ借地権者が入り混じった不動産に対し、個別調整を通じた資産価値向上の対応を行う。

・借地権者との合意形成が非常に面倒で、一般的な不動産会社は手を出さないビジネス。ただし最近は競合も出てきている様子(エリアリンクなど)

・底地自体はまだまだ多く残っている上に相続による権利調整需要は高まる。ただし営業活動に人手がかかるようで高成長は難しそう。またビジネスがフロー型のため売上が安定せず合わせて利益もブレがち。


Step3:株価の確認

予想PER7.2、PBR1.01で割安

■田舎の司法書士さんへの質問
①5年後の売上・利益率のイメージはどれぐらいだと考えていますか

②競争優位性に関してはどう考えますか
③その他、聞きたいことがあればどうぞ

『企業分析:3277サンセイランディック(3.5)』へのコメント

  1. 名前:田舎の司法書士 投稿日:2016/07/26(火) 18:54:36 ID:ddc88773a 返信

    ②競争優位性に関してはどう考えますか
    エリアリンク等の底地ビジネスを行っている企業がターゲットにしているのは旧借地借家法が適用される不動産になります。
    それに対してサンセイランディックが主に取り扱っている底地は借地法が適用される不動産になります。(IRに問合せを行い確認済)
    名前が似ている為、ぱっと見では違いがわかりにくいかと思いますが、
    旧借地法では借主(建物所有者)の保護を目的としており、
    旧借地借家法は、借地法で強すぎた借主の権利の一部を削り地主(土地所有者)の権利を強化する為に制定されました。
    保護したい対象が逆転している為、上記は全く別の法律と考えた方が早いです。
    正直、借地借家法の知識から、借地法を理解するのは恥ずかしながら私のような下っ端司法書士レベルではかなりの時間がかかると思います。
    (借地法は条文もカタカナですし、参考書も全く売っていませんし)
    そのため、この分野では企業レベルの規模での新規参入は不可能で、高い利益率も維持できると考えています。
    ①5年後の売上・利益率のイメージはどれぐらいだと考えていますか
    この手の分析は正直苦手としてるため、願望込みの予想しかありません
    ただし、底地ビジネスは景気に関係ないと思われる上、
    空家問題、相続税増税などで、古い建物が立っている土地の地主は無理をしても不動産の処分をしたいと考える状況は増えてきていると考えております。

  2. 名前:すぽ 投稿日:2016/07/27(水) 19:28:40 ID:589fc6ab0 返信

    田舎の司法書士さん、ありがとうございます。
    まず1点確認させてください。サンセイランディックは基本的に旧法(平成4年以前)の底地が中心だとと認識しています(下記FAQでも旧法と明記されています)。書かれた内容は間違いないでしょうか。
    http://www.sansei-l.co.jp/ir/faq/
    新旧法は問わず借地権の調整は面倒で参入障壁が高いのは同意です。
    成長に関しては、採用ページが参考になりそうです。
    http://www.sansei-l.co.jp/recruit/work.html
    不動産仲介業者や金融機関、弁護士などに地道な営業活動をおこない、新卒だと1年案件が無いのもざらという感じのようです。更に紹介物件の調査などにも時間がかかりそうです。元々底地は山ほどあるはずですから、人員数がボトルネックになっている印象を受けます。採用数の急増は無さそうですので基本は今のトレンド(7〜8%)ではないでしょうか。
    また、まるのんさんは「仕入」を先行指標としていますが妥当だと思います。仕入から半年程度で売上になることが多いようなのでここしばらくはトレンド以上の成長も考えられます。ただし売上・利益ともにブレが大きいことは常に想定しておくべきです。
    いかがでしょうか。

  3. 名前:まるのん 投稿日:2016/07/28(木) 00:28:18 ID:bbdce7574 返信

    こんにちは、まるのんです。
    まさかサンセイランディックが取り上げられるとは思いませんでした。
    そのため、興味を持って拝見しておりました。
    再三、私の名前を上げて頂いておりますので、
    傍観しているのも失礼かと思い(笑)、
    稚拙な考察ばかりですがコメントをさせて頂きました。
    参入障壁についてはお二方の見解の通り、
    高いものと認識していますが、
    一方でそれが真に優位性があるものかについては、
    慎重に考察が必要と考えています。
    書籍「千年投資の公理」での「堀」に関する議論を借りてみると、
    構造的優位性は、
    無形資産、乗り換えコスト、ネットワーク効果、コスト優位性と説いていますが、
    この区分で考えた際の優位性が明確に何であるかと考えると、
    少し悩んでしまう自分がいます。
    権利調整という特殊な業務における行政連携や入居者や相続人との
    関係構築、更に物件の評価など一連のナレッジがあるため、
    これを無形資産と見るのが一番適当と思います。
    ただ、そこまで強力なものではない印象もあります。
    認可規制に縛られているわけでもなく、
    特許を活かしたモデルというわけでもありません。
    ブランドという程、同社の認知度が高いわけでもなく、
    むしろまだ無名でしょう。
    ニッチなので大手が参入しにくいという背景があるので、
    直ちに脅威になるとは感じませんが、
    参入があるとブランド力(認知度)で一気にひっくり返される恐れもあります。
    (可能性はそこまで高いとは思いませんが)

  4. 名前:まるのん 投稿日:2016/07/28(木) 00:31:00 ID:bbdce7574 返信

    これまで、非上場も含めて他者参入がありましたが、
    このナレッジの不足もあり事業化出来ずに撤退したと聞いています。
    (昨年一時的に仕入に苦心したもののその後平準化した背景です)
    従って前述の強力なものではないという直感はあれど、
    一定の優位性は保てているとも考えています。
    エリアリンクという強力なライバルが出現していますが、
    ここでそのナレッジ構築が容易となり
    競争激化になるとすると、
    優位性の根拠が崩れるので、
    その時は素直に自分の考察を省みたいと思います。
    すぽさんが指摘下さってる採用ページは目は通していましたが、
    あまり考察を深めていませんでした。
    確かにパーヘッドの推移は見ておくべきかもしれませんね。
    同社の採用は、記載のある通り、
    質を求めているために無理な採用計画を立てていないので、
    それが良くも悪くもネックになるというのはその通りかもしれません。
    実際、仕入チームを専属化しているものの、
    体制は十分とはいえず、
    その結果、仕入れが不安定という要素もあると感じます。
    (もちろん、外部環境でブレる要素もあるのでしょうが、内部要因もあるでしょう)
    採用数が急増がないというのもその通りですので、
    パーヘッドからマクロに見れば確かに成長率は
    そこまで高くならないかもしれません。

  5. 名前:まるのん 投稿日:2016/07/28(木) 00:31:57 ID:bbdce7574 返信

    (連投すみません、これで最後です)
    私は10%台の成長率を期待していますので、
    フロー型で不安定という要素を加味したとしても
    今のPER7倍台は割安水準と判断していますが、
    すぽさんの考察で7%前後の成長と見れば、
    今の株価水準は概ねフェアバリューということになろうかと思います。
    仕入のスキームについて、弁護士や司法書士事務所との
    提携がもっと進んでくると面白いなと思っていますが、
    引き続きすぽさん指摘の通り、ブレが大きいのでそこは注視しています。
    あとは、ブレこそ大きいものの、
    それが一時的なタイミングの問題か、
    構造的に限界が来ているとみるのかも難しいと考えています。
    そこは逐一IRに確認して回答のトーンを見て、
    あとは自分で判断するしかないのが実情です。
    このようなリスクの高さも評価の低い原因かもしれませんね。
    長文、失礼いたしました。
    なお、最後に、当方のブログをご紹介下さった、
    すぽさんに御礼申し上げます。

  6. 名前:すぽ 投稿日:2016/07/29(金) 08:50:57 ID:589fc6ab0 返信

    まるのんさん、お待ちしておりました(笑)
    サンセイランディックに関しては、web上にまるのんさん以上の情報は無かったので使わせて頂きました。ありがとうございます。
    参入障壁についてはまるのんさんの意見と基本的には同じです。ただ、エリアリンクの登場で「競合→値下げ」と直ぐにはならないだろうと見ています。
    そもそも底地は山ほどあり、多くの場合は「当事者同士での解決」「安い底地のまま売買」という流れになっていて、その一部が「底地ビジネス」として生まれ変わっているという構造だと思っています。
    つまり潜在的なニーズを掘り起こすフェーズであり、2社が直接的にぶつかることはそれほど多くないと見ています。もちろん「慎重に見極めるべき」という意見には賛成です。
    成長率については、8%なのか12%なのかという議論は難しいですね。日本M&Aもそうですが「相続」というのは中長期の投資テーマかもしれませんね。

  7. 名前:トルネコ 投稿日:2016/07/29(金) 17:37:00 ID:589fc6ab0 返信

    すぽさん、田舎の司法書士さん、まるのんさん、こんにちわ。楽しく読ませて頂いてます。
    個人的にサンセイランディックはとても魅力的な企業だと思っています。
    不動産業ですが、土地を売買するのであれば瑕疵担保責任も無く、消費税増税の影響を直接的には受けないように思います。
    なぜ、サンセイランディックは現在、割安な価格になっているのでしょうか?
    特に大きな理由が思い当たらないのですが、教えて頂ければ幸いです。

  8. 名前:田舎の司法書士 投稿日:2016/07/29(金) 18:53:55 ID:8dba569a7 返信

    申し訳ありません
    前回ものすごくわかりにくい書き方をしました
    現在、借地法という新しい法律がない為、単に借地法と記載してしまいました。
    私が前回書いた借地法という記載はサンセイランディックのHP等に記載されている旧借地法と同じ法律です。
    訂正できるなら旧借地法と訂正したいです。
    この企業は強みに関してですが、かなり強い無形資産(ノウハウ)を保持している事だと考えております。
    不動産関係の法律は難しいと言われる理由は、論理的に考えれば結論や理由が推測できる民法などと違い、不動産関係の取扱は実務からスタートしてるため、結論から理由が説明できないケースが多く、ノウハウが無い状態での仕事は恐ろしく難しいためです。
    極端なことを言えば申請書の書き方、役所が出している書類の取扱が法務局事(おおよそ県単位)で違う為、仮に有名な大手不動産がこの分野に進出したとしても一気に市場を取られるという性質の仕事ではないと思います。
    ただ、あくまで私で判断できるのは堀の強さで、将来的な見通しは皆様の判断が凄く参考になります。
    割安な理由は市場がニッチで、仕事内容や堀の強さが具体的に想像することが難しいことでしょうか

  9. 名前:まるのん 投稿日:2016/07/29(金) 20:10:22 ID:90839f63f 返信

    こんにちは、まるのんです。
    >すぽさん
    お待ちいただいていたとは恐縮です(笑)。
    さすがに傍観は失礼かと我慢出来ずにコメントしました。
    価格競争はそこまで脅威には感じていません。
    むしろ、ご指摘のようにニーズが実際のビジネスとして認識されるよう、
    両社が活躍する中で世間から認知されることによる相乗効果も期待出来るかもしれません。
    総会でも社長がいい意味でライバルと認識されていて、脅威というようには感じませんでした。
    >トルネコさん
    割安な理由はPFに据えている私も聞きたい位です(笑)。
    やはり業績のブレのリスクを嫌気されているのと、
    ニッチ過ぎて認知されないということかなと思います。
    もっとわかりやすいテーマや魅力ある銘柄が他に溢れているからかもしれません。加えて不動産市況の先行き感は不透明というのもあるかもしれません。
    > 田舎の司法書士さん
    司法書士という立場からのご意見で参考になります。
    ノウハウが強みというのは程度こそあれ私も同感です。
    一方で今後相続の増加で申請も増えてくる中で、
    今のような複雑すぎる申請フローが見直されてくるケースも
    想定されないでしょうか。
    例が悪いかもしれませんが、確定申告も今ではかなり個人でも対応出来るようにガイダンスや仕組みも整備されていますが、
    ニーズが増えるとそういうわかりやすさが、
    その塀の魅力を低下させる可能性はないでしょうか。

  10. 名前:トルネコ 投稿日:2016/07/30(土) 09:02:40 ID:1fd0a4587 返信

    田舎の司法書士さん、まるのんさん、回答頂きありがとうございます。
    お二方ともサンセイランディックには大きなリスクがあるようには感じていないという感じでしょうかね。すぽさんのブログには株式投資にお詳しい方が多いので、もし大きなリスクがあれば親切な人が教えて貰えるかなと淡く期待しています^^
    毎回、議論の度に思うことですが、日頃からよく勉強され、よく銘柄研究されている方々のお話や議論はとても面白いです。銘柄研究って面白いですね~^^

  11. 名前:すぽ 投稿日:2016/07/30(土) 09:15:00 ID:589fc6ab0 返信

    田舎の司法書士さん、まるのんさん、トルネコさん、ありがとうございます。
    「申請にノウハウがいる」という情報はありがたいです。
    役所もどうすればいいかわからないような申請で、企業と役所がすり合わせながら申請方法を決めていくというニュアンスでしょうか。だとすると確かに面倒ですしサンセイランディックにノウハウがたまりそうです。まるのんさんの仰る可能性も考えておいてよいとは思います。
    ただ、この事業で何より大変な点は何といっても借地権の法的効力の強さでしょう。居住者が動くと言わない限り何もできない上に、期間延長も自由。さらに相続まで可能。
    一方で居住者が増改築や借地権を転売しようとすると立場が逆転し、地主の承諾なしには何もできない。双方に武器があるため感情的にもこじれやすい構造になっています。
    https://souzoku-pro.info/columns/41/
    この意見調整がサンセイランディックの一番のノウハウだと思います。HPを見ても「心」という言葉が多く出てくるのもうなづけます。
    売買や仲介を生業としてる普通の不動産業者から見ると、こういう底地案件は「ビジネスチャンス」ではなく「面倒そのもの」にみえるのでしょうね。
    本質的な参入障壁は極端に高いわけではないと思うのですが、心理的な参入障壁が高いビジネスだととらえています。

  12. 名前:田舎の司法書士 投稿日:2016/08/01(月) 13:17:25 ID:9c9d4160b 返信

    >まるのんさん
    可能性が無いとは言えません。
    ただ関係する法律の趣旨などを見る限り、サンセイランディックが関係する複数の手続が簡略化される可能性は極めて低いと思います。

  13. 名前:まるのん 投稿日:2016/08/01(月) 23:35:01 ID:04b0236ba 返信

    >田舎の司法書士さん
    ご返信を頂きましてありがとうございます。
    自分で言及しておいてなんですが、
    「可能性」といったらそれは無いとは言えないとなりますねよね。
    すぽさんも含めてこの法規制や、
    行政手続きにおける塀はそれなりに機能し続けるという
    見解について理解をしました。
    色々不勉強ですが、
    その分野にお詳しい方の意見として、
    参考にさせて頂きました。
    ありがとうございます。

  14. 名前:すぽ 投稿日:2016/08/03(水) 15:23:00 ID:589fc6ab0 返信

    みなさん、ありがとうございます。
    皆さんの意見は概ね一致していそうですね。まとめのフェーズに入ります。
    ・底地への対応は時間も手間もかかり競合が入りづらい。また案件が直接競合することは少なく競争激化による利益率低下は考えづらい。
    ・成長については高齢化・相続増加など環境は悪くないものの、ニーズ掘り起こしにエネルギーがかかるためか直接的に成長を享受しているように見えない。緩やかな成長を想定。
    こんなところでしょうか。

  15. 名前:まるのん 投稿日:2016/08/03(水) 23:29:18 ID:f5b365f41 返信

    >すぽさん
    議論に少しではありましたが、
    参加させて頂きまして、ありがとうございました。
    まとめについて、私は概ね違和感はありません。
    利益率低下については、
    「競争激化による」低下はありませんが、
    仕入・販売の環境は不安定で、
    それによってタイミングによって利益率は大きくぶれています。
    但しこれも四半期というスパンではなく、
    年次、又は数年来という長いスパンでのトレンドで見れば、
    すぽさんの仰る通り、構造的には低下していくことはないのでしょう。
    成長についてもご指摘の通り、
    緩やかな成長というのもそれでよいと思います。
    私も元々成長性を高く評価したというより、
    割安さと長期的な外部環境の良好さを重視していました。
    すぽさんの成長第一といった目でみれば、
    銘柄の魅力としてはそこまで高くないと捉えています。

  16. 名前:トルネコ 投稿日:2016/08/04(木) 08:53:42 ID:78fcf5d90 返信

    >すぽさん
    皆さんのご意見と概ね変わりありませんでしたので、まとめに賛成です。こういう企業はより良い街づくりに大切な企業なのかなと思います。個人的には応援したい企業です。

  17. 名前:田舎の司法書士 投稿日:2016/08/04(木) 10:50:19 ID:c18e760fe 返信

    >すぽさん
    >まるのんさん
    >トルネコさん
    勉強になりました。
    皆さん大変ありがとうございました。

  18. 名前:すぽ 投稿日:2016/08/04(木) 19:40:09 ID:589fc6ab0 返信

    田舎の司法書士さん、まるのんさん、トルネコさん
    評価を確定しました。競争激化は考えづらく基本的には割安だと思います。ただB→A投資に近いので評価が適正になるのに時間がかかりそうだと考えこの評価としました。
    議論たのしかったです!ありがとうございました。