どんな時も売りと同じだけの買いがある

株が暴落すると、私たちは「多くの人が投げ売った」と考えます。ワールドビジネスサテライトなどの経済ニュースでも、証券会社の窓口の様子が映され「1,000株売り!」「3,000株売り!」などと売り注文が殺到したという映像が流されます。
しかしよく考えるとこれは正しい理解ではありません。株は取引なのですから、売り数と買い数は常に同数です。「3,000株売り!」の裏には必ず「3,000株買い!」がいるのです。

売ると買うは真逆の行為
売買の判断には「維持したい(売買しない)」「売りたい」「買いたい」という三つの方向性があります。「維持したい(売買しない)」という状態から売りたい気持ちが一定以上になると実際に「売る」行為に至ります。同様に買いたい気持ちが溢れて「買う」行為になります。つまり売買とは、思惑が全く逆の人同士で行われる不思議な行為なのです。
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市場にはいつも真逆の声が半分ぐらいずつある
こうして改めて考えてみると、価格という調整機能を通じて、市場は「売りたい声」と「買いたい声」が半分ぐらいに維持される仕組みになっているとわかります。(もちろん厳密には「売りたいけど売る行為に至らない人」と「書いたいけど買う行為に至らない人」がいますので正確に半分ではありません)

ですので、株の掲示板などではどちらか一方の声が支配することありますが、現実はもう半分ぐらい逆の意見があると考える方が自然なのです。

どちらに乗るかはあなた次第

売りたい側になるか、買いたい側になるか。ミリオネアの「オーディエンス」を使って、周りに聞いてみてもその声は常に半々です。結局どちらを選ぶかは私たち次第であり、自分で考えて決めるしかありません。なかなか厳しいですが株式市場とはそんなところなのです。

『どんな時も売りと同じだけの買いがある』へのコメント

  1. 名前:sk 投稿日:2015/10/20(火) 09:37:51 ID:b2d510acf 返信

    いつも楽しみに読ませて頂いております。シュッピンが値を下げているのは、中国景気の思惑からでしょうか?

  2. 名前:すぽ 投稿日:2015/10/20(火) 12:10:52 ID:2c26cf97d 返信

    skさん、ありがとうございます。
    今回の記事にちょうどよいご質問ですね。
    どうせ市場の声は半々です。skさんは今のシュッピンの状況をどう捉えていらっしゃいますか?

  3. 名前:レイフォン 投稿日:2015/10/20(火) 18:38:42 ID:9e853275d 返信

    すぽさん、skさん、こんばんは。
    シュッピンの話題が出ていたので、失礼ではありますが、
    私もお話しに混ぜて頂きたいと思います。
    シュッピンは最近の月次がこれまで130%~140%が続いていたのが、
    数字が急に悪くなったために低調になっていると思います。
    数字を下げた要因としては、インバウンド効果の剥落が主だと思います。
    skさんが仰ったように中国景気もやや減速気味になっていますし、
    このあたりの事実も不安視されて一層値を下げているのではないでしょうか。
    ただ、インバウンドはもともと主成長エンジンではなく、
    一過性のボーナスのようなもので、これが鈍化した(あるいはなくなる)としても、
    シュッピンの成長がそれで止まることはありません。
    月次のEC関連の数値は
    絶好調時(インバウンド最盛期?)にくらべれば低いですが、
    悪いとまではなっていません。
    今までの、インバウンド効果が加わった数値のインパクトが大きすぎたため、
    必要以上に悲観的になっている状況だと私は思います。
    シュッピンの成長は如何に(国内の)EC部門を
    強化・成長させるかだと思っているので、
    インバウンド効果が無くなったとしても、
    依然として20%前後の成長を見込める企業だと思っています。
    しかし、以前のように月次が絶好調(130%~140%超え)になることは
    あまりなさそうに見えるので、
    その点は注意して、例えば買うときはPER20以下にする、
    など対応が必要かと思います。
    いずれにせよ、今の株価であれば、
    (数年後に)十分報われる水準だと思います。
    横から、失礼致しました。
    skさん、すぽさん、お二人のご意見も伺えると幸いでございます。

  4. 名前:すぽ 投稿日:2015/10/20(火) 20:48:01 ID:9fa186503 返信

    レイフォンさん、skさん
    コメントありがとうございます。私の見解はレイフォンさんとほぼ同じです。元々インバウンド銘柄というつもりは無く購入していますので、その効果があろうと無かろうとあまり関係ありません。(リアルよりもWebの方が利益率が高いはずですし)
    今の成長ペースなら十分です。
    基本的に株価は読みませんが、ここ最近の下落は「下がるから(怖くなってさらに)下がる」というだけではないでしょうか。大した理由は思いつきません。
    ちょっとだけ今日買い増しました。(あとで報告します)

  5. 名前:ペルソナ 投稿日:2015/10/21(水) 08:57:02 ID:f0f40113d 返信

    いつも楽しみに読ませていただいています。
    シュッピンに対する見解もとても参考になりました。
    ありがとうございます。
    PCデポに対する見解も
    もしよろしければ、うかがいたいなあと思い書き込みました。
    企業のいわゆる
    「利益センター」に対する感覚は理解しやすいのですが
    PCデポの今回の政策
    新株発行および東証への上場の意図というか意味がわかりません。
    私の理解は、
    今やっている事業がうまくいきそうだから
    もっと新規出店をしたり、既存店の改装をしたりしたい。
    銀行等からデットで借入すると、金利負担もあるし・・・。
    それなら、親族が持っている株式を売って資金を確保しよう。
    それで、もっと儲かったら嬉しいじゃん。
    親族が持っている株式は、元々市場に
    流してなかっただけで、保有比率としてはあったわけだから
    一時的に需給バランスで株価は下がるかもしれないけれど
    希薄化しているわけでは無い。
    だから、株価そして時価総額もそのうち回復するだろう。
    と、こういった理解なのですが、間違い等々も含めて是非ご教授ください。

  6. 名前:すぽ 投稿日:2015/10/21(水) 09:46:03 ID:7c3e71298 返信

    ペルソナさん、ご質問ありがとうございます。
    経営者が考えを知りたいなら、IRに聞く方が早いですよ。私がどう捉えたかという質問ということでコメントしますね。
    「SLPビジネスが好調でキャッシュが足らない。資金を調達したい。」という背景は、B/Sを見てもよくわかります。資金調達には銀行か増資かの選択になりますが、自己資本比率が50%もあるのですから、本来であれば銀行からの調達すべきだと思います。プレノンさんが書かれた以下の記事に基本的に賛成です。
    http://prenom80.blogspot.jp/2015/10/blog-post_14.html
    「①資本コスト(株主が期待するROE)」と「②銀行からの借入コスト(利息)」では、①の方が圧倒的に高いというのは金融市場では常識ですが、その認識が弱いのだろうと思います。
    まぁ野島社長(兼大株主)の立場から見れば、銀行は返せなくなると会社が潰れるが、株なら俺が我慢すればいいだけ、ぐらいに思っているのかもしれませんね。
    東証へのくら替えとのセットは、増資による下落を緩和させたいという意図ですよね。
    需給がどうのなんて考えるほど日々の株価には興味はないんじゃないですか。

  7. 名前:長期投資フリーク 投稿日:2015/10/21(水) 20:44:45 ID:452be9053 返信

    いつも勉強させてもらってます。
    私のポートフォリオも気がついたら、すぽさんとほぼ同じになってしまっています。もっと勉強して自分でもいい会社を見つけたいと思っています。
    一点質問させてください。長期投資において需給も勉強中なのですが、今回の記事についていまいち腹に落ちないのですが、買いと売りは常に同じなのでしょうか??価格は常に動いているわけですから、私の中では常にどちらかに偏っていると考えていたのですが、違いますか?
    そうでないと、おいしい価格で拾えないと思います。
    長期投資はいかに安く買えるかというのが、かなり重要だと考えています。

  8. 名前:すぽ 投稿日:2015/10/21(水) 23:32:58 ID:152f1ff50 返信

    長期投資フリークさん、ありがとうございます。
    質問をお聞きして、売りたい/買いたいの割合の具体的なイメージが違うのかなと感じました。
    おっしゃる通り、株価は変化し続けているわけですから、50:50ではないというのはその通りです。ただ私はその変化は45:55ぐらいの話であり、70:30はありえないと思っているということです。
    70:30であれば、例えば10万株の売却と同時に10万株の購入があった事実に対して説明がつきません。
    株はどうしても自分の視点で見がちですが、「なんでこの人は自分が売った株を買うんだろう?」そんな視点が必要だと思い、記事を書きました。

  9. 名前:長期投資フリーク 投稿日:2015/10/22(木) 18:18:08 ID:4490098b4 返信

    すぽさん 返信ありがとうございます。
    とても勉強になります。
    テクニカル分析に限界を感じ、需給なども勉強しはじめたばかりなのですが、私は感覚的に30:70、20:80くらいの偏りが常にあるもんだと思っていました。
    確かに出来高があるということは買っている人もいるというのはわかっていますが、やはりその時の価格では拮抗しているということなんですね。ある程度の期間ということであれば、偏っているもんなんですかね?
    いやーわからなくなってきましたw

  10. 名前:すぽ 投稿日:2015/10/22(木) 23:26:33 ID:2a95278c9 返信

    長期投資フリークさん、ありがとうございます。
    55:45の差が広がる前に価格が下がり50:50に修正される。そしてまた何らかの理由で55:45ぐらいに意見が偏り、また価格調整が起きる。基本的にこの繰り返しが起きているという認識です。
    長いスパンで見ると「多くの人が態度を変化させていた」という捉え方をすれば良いかと思います。
    ==
    「自分が売りたくて売った株を、誰がどんな気持ちで買ったのだろう?」
    ここがわかると面白いのですが、残念ながらここは掘っても複雑すぎて結論は出ません。
    ・中長期的視点、企業価値をベースにした売買
    ・短期的視点、チャートや需給などを意識した売買
    ・自分の買値をベースにした売買
    ・感情的な売買
    ・ファンドなどの個々のルールに沿った売買
    ・機械的な売買
    市場にはこのような様々な思惑があり、どれがどれぐらい影響を与えているのかは残念ながらわかりません。

  11. 名前:長期投資フリーク 投稿日:2015/10/23(金) 11:50:09 ID:42e4961f5 返信

    すぽさん 返信ありがとうございます
    理解できました。
    偏りが発生すると、価格が調整され、ただちに拮抗状態になる。納得しました。
    100円で売りたい人も90円なら買いたい人になる可能性もある。
    自分なりの基準を確立しないと買えないし、持ってもいられないですね。
    もっと勉強します。