08.ビジネスモデル④:トップシェア

ビジネスモデルの4つ目は「トップシェア」です。
これは正確には「モデル」とは違いますが、投資という視点では極めて重要な視点ですのでモデルとして整理しておきます。
業界シェアNo.1はその市場の王様であり、No.2以下とは全く違います

シェアNo.1であることのメリットはいろいろ語られていますが、大きくは3つではないでしょうか。

  • コスト効率面
  • 戦略面(同じことをするだけで他社との競争に勝てる)
  • 情報面

こういったメリットを享受するためには、No.2と一定以上のシェア差があることが必要です。シェアについては「ランチェスターの法則」とか「クープマン目標値」あたりで調べてもらうと良いと思いますが、No.2のルート3倍(1.73倍)以上の差があるとかなり優位になります。

コスト効率面では、ルート3倍売れると開発費・広告費など固定費(1個でも10,000個でも同じコストがかかるもの)の効率はルート3倍になります。No.2の企業の商品にかかる固定費が20%だとすると、No.1の企業は同じことをしても12%しかかからず、営業利益率にして8%の差になります。

また、戦略についてもNo.1だけは「同質化戦略」が使えます。No.2が目新しいことをしたらそれを真似すれだけで優位に立てます。先ほど話したようにコスト面での優位性に加え、ブランドイメージ、販売力、サポート力などでも優位性があります。真似すればよいということはムダなチャレンジをしないで済むという面もあります。

自動車業界No.1トヨタは、基本的にはこの同質化戦略をとっています。(ストリーム→ウィッシュなど)「リーダー/チャレンジャー/ニッチャー/フォロワー」あたりで調べてもらうと山ほど情報が出てきます。

そして、情報面の優位点です。「日本で2番目に高い山は記憶に残らない」という話がありますが、要するに他業界やお客様の基本的な認知はNo.1の企業です。ポテトチップスといえばカルビーですし、ケータイで何か始めようとしたら先ずドコモです。No.1は世の中からの認知がNo.2と大きくかけ離れており、提携話など情報はNo.1企業に集中します。

コスト面、戦略面、情報面。No.1が持つ優位性は極めて大きく、丁寧に企業運営を行えばこの立場が入れ替わることはほとんどありません。株を買う場合も業界No.1を選ぶことが基本です。

シェアの大切さを知ることが出来る本は山ほどありますが、私が学んだのは大前研一さんのこの本です。