優待株として持っている楽天の株主総会に行ってきました。三木谷さんのリアルな雰囲気を知ろうと思って参加しましたが、思った以上に優秀な経営者だなぁという驚きがありました。
印象に残ったことを中心にまとめておきます。
■総会の雰囲気
新高輪プリンスホテルの1000人ぐらい入るような大きなホールで行われました。参加者はざっと500人ぐらいでしょうか。経営側は三木谷さんを議長として20人ぐらいの役員が並んでいました。
■一枚岩を感じさせる経営陣
総会で一番印象に残ったのは、三木谷さんの落ち着いたふるまいと、担当役員の適切な役割分担が成されている様子でした。
三木谷さんはこういう場に慣れているというのもあると思いますが、適度なフランクさで議長の役割を果たしていました。質疑への回答も「じゃあ、この質問は●●さんから」と振った後に、役員が適切な説明が行われて最後に三木谷さんが少し大きな視点で補足するという、ワンマンではない進め方でした。
また役員の回答も、慣れない役員だとしどろもどろになりがちですが、そういったことも無く各役員の優秀さも感じました。
■携帯事業について
最大の関心事はなんといっても携帯事業です。
当然株主から質問が挙がり、3分ぐらいの技術コンセプトビデオを流した後に三木谷さんが説明しました。
・世界初のクラウドネイティブネットワークによる大きな効率化(4G→5Gへの切り替えが容易)
・レガシーシステム不要となる新規参入メリット
・新規参入(4Gでの参入)は6000億円で十分できる
・5年で黒字化(総務省へ提出した現在の計画として)
三木谷さんとしては、楽天の顧客基盤の強さ、顧客獲得力、新規参入メリットを活かしたローコスト設計ができるという強みを活かせる一方で、市場は非常に大きいと成功に自信を持っている様子でした。(もちろんこれを聞いて「コストは膨らまない」と安心するわけにはいきませんが・・・ )
私にネットワークシステムの知見がないので成功可否の見極めは難しいですが、この記事があたりがニュートラルな見方のように思います。新システムがうまく行けば絵に描いた餅ではなくなる可能性があります。
楽天携帯の「格安」通信網に注がれる、熱くて冷ややかな視線
■変わった質問への対応
変わった質問として「昨年も質問したがサンデーモーニングのスポンサーをなぜやるのか(降りてほしい)」という質問がありました。
役員からは「市場調査からはスポーツなどで高評価を得ている番組で、広告効果を踏まえて継続している」という回答があり、「うーん、その回答だと質問者のような偏った捉え方の人は納得しないだろうなぁ」などと思っていたところ、三木谷さんが、
「新聞・ニュースをはじめとしたメディアは、多様な考え方/思想があるものと認識しているが、楽天は政治的に中立・ニュートラルというスタンスを取っている。社会通念上問題があるのであればもちろん別だが、そういったことがなければ特定の考え方を排除するような考え方を持たない。これは来年質問されても同じ回答になると思う。」
としっかり回答していました。三木谷さんの対応力の高さが印象に残りました。
■全体の印象
クックパッドの総会を見た後だからという面ももしかしたらあるのかもしれませんが、三木谷さんのバランス感覚や率直さが企業運営に素直に出ていて、大企業の大きさなのに若さ・柔軟性を感じるよい会社だと思いました。そうは言っても携帯事業次第ですので注意が必要なのは当然です。
■投資対象として
携帯参入発表から下がりに下がった株価も、戦略はありそうということで一定程度戻しています。
予想PER 22.0(明確な計画が出てないため、コンセンサスベース)、実績PERだと9.7というレベルですので主力はリスクが大きいものの携帯事業の成功に賭けることはできる水準だと思います。
てなわけで、楽天市場の画面はイマイチだけど、三木谷さんってやっぱり凄かったんだ。(失礼!)そんなことを感じた総会でした。
三木谷さんはベンチャーの名前をかたったレッドオーシャン大企業の魔術師ですかね?やはり?
なめるなよーといわれている感じが。