クックパッドの株主総会に優待目的の100株株主として興味本位で参加しました。
想像を大きく超えるひどい株主総会(特に経営者の姿勢)で、もともと記事にするつもりはなかったのですが思わず記事にしてしまいました。
■業績と株価
総会の状況の前に業績の確認です。強靭なビジネスモデルによって高収益が約束されたような会社ですが無残な業績となっています。株価下落もワーストレベルです。
業績のポイントは以下のとおりです。
・減収
・コスト増(人件費増、開発費増など使いたい放題)
・特損
・来期業績予想は出さない
・あふれるキャッシュの中、無配
業績からは株主軽視を疑いたくなるような状況の中で、株主総会が行われました。
■10年パスポートがあるんだから文句をいうな
株価も下がるべくして下がったような状況ですので、経営者からもしっかり説明がありそうなものですが、当日の質疑応答は驚くほど官僚的なやり取りで、岩田社長は「何も回答しない」ことに徹していました。
2017年に「10年間を投資フェーズとする」という宣言をしたらしいのですが、これを盾にとったような姿勢で、
・投資期なので業績は見ない(≒責任は無い)
・投資は採用ができているから成功
・計数目標は短中期ともに言うべきではない
・具体的な戦略も説明しない
・今のままで間違ってない
僕からは「任せろという割に今の事業戦略もなぁ・・」ということで、
「ミールキット事業のクックパットマートは置き配ではなく、オイシックスのような直接配達がよいのでは?」と質問をしてみましたが
・一品から注文できるなどビジネスモデルが違う
・直接配達は何度かトライしたが配送料がネックになる
と言い訳めいた回答で、オイシックスがうまく行っている理由には言及がありませんでした。(私としてはこの事業は失敗に終わると思っています)
その一方で、他の株主からの「カロリー表示など健康を考えた表記改善は行わないのか」という質問には突然前のめりな回答があり、
「食と健康については一番重要だと考えており、医学的見地も踏まえて、正しいメッセージとなるように慎重に考えている。健康に良いという食べ物もそれだけ食べ続けるのは良くないことも多く、今のところは色々なものを食べる方が望ましいというまでにとどめている」
と丁寧に答えていました。どうやら食について考えるのは楽しいようです。
■総会の雰囲気
300名ぐらい入る大きな会場に100人以下の出席者で席は空いている状況でした。
株主の質問は上記のように受け流されつづける状況だったので出席株主も失笑気味でした。
ある株主から「業績を上げる、配当を出す、未来図を見せる、投資をする。これが経営の役割だと思う。まずは謝るなどのコミュニケーションがあっても良いのではないか」という意見が上がったときにはどっと拍手が湧いた一方で、議決時の拍手は1割程度の人しか拍手をしておらず、「総会前の議決権行使を含めて」という枕詞がないと到底可決とは言えない状況でした。
■全体の印象
あくまで個人的な印象ですが、今の経営陣は「高校の文化祭をやっている」ように見えました。創業者で大株主である佐野さんが今の体制にしたわけですが、佐野さんも「本当は経営ではなく文化祭をやりたい」と思っているため、今の文化祭実行委員長を支持しているという状況なのだと思いました。
※ちなみに昨年の株主総会も同じような状況だったようです。
[株主総会の記事] クックパッド総会で株主が突き付けた「不信」
■投資対象として
業績責任を負う気がない経営者が、未熟な戦略を繰り広げているような状況ですので私の投資対象にはなりえません。
ただキャッシュの塊の黒字会社がPBRも1近辺まで下がっているという状況ですので、経営者が赤字までの無茶をしなければ大きな下落の可能性は小さいかもしれません。
また「文化祭を続けるためにMBOをする」なんて話になれば、今より2〜3割ぐらい高い値段で売れるなんていうことはありえますし、何らかの理由で経営陣刷新なんてことになると面白いかもしれません。まぁ中長期で保有するには不安が多すぎて辛いとは思いますが・・・
何度も失礼します。
すみません。
重みのある文章と、ビジネスモデルがよければいいというわけでもないということを勉強させてもらったみたいです。
今、リアルで感じのよい時短料理の本なんかがいっぱいでているので、かつてほど存在価値がなくなっているのに、暴走しているのかもしれませんね。