スタートトゥデイの前澤社長が「世の中からお金をなくすことが世界平和につながる」と仰って物議を醸しています。
前澤社長は好きな経営者の一人ですが、なかなか突飛なアイディアだなぁということで、自分なりにお金の必要性について考えてみました。
お金って凄い!
お金は生活の中にあまりにも溶け込んでいるのでその強さを意識しづらいのですが、僕が「お金って凄い!」と改めて実感したのは中国に一人で出張に行ったときでした。
目的地は中国の天津にある自社拠点なのですが、私は英語もほとんど話せませんし中国語もできません。電車のきっぷを買うのも四苦八苦しながらなんとか天津駅までたどり着き、最後にタクシーに乗りました。タクシーの運転手は当然中国語しかわかりませんので、地図で場所を指し目的地の名称を見せてあとはお任せしたわけです。で、タクシーの後部座席に乗っているときふと、
「あれ?なんでこの人、中国語も使えないような普段の生活なら関わりたくないやつを丁重に車で運んでくれているんだっけ?」
と思ったのです。答えはもちろん「お金を払ってくれるから」なのですが、それはつまり、私が日本からもってきたお金が、言語の壁を超えて見ず知らずの人との価値交換を可能にしてくれていると気づいたのです。「お金って凄いなぁ!!」タクシーの後部座席で密かに一人興奮していたのを覚えています。
お金の重要性
お金の機能にはいくつかありますが、私が決定的に重要だと考えるのはこの2つです。
①世界中の知らない人同士と価値交換できる「空間の解放」
②価値を保存でき、いつでも使うことができる「時間の解放」
①価値交換における空間の解放
あなたの周りをぐるっと見回すと、非常に多くの商品に囲まれていることと思いますが、そのほとんどは「知らない誰かが生み出した価値」です。どこの誰がどのように作ったのかもわからないけど便利。私達はそんな商品に囲まれているわけですが、これは全てお金が無ければ成しえません。お金があることによって世界は高度な分業化を進めることができ、人それぞれの価値を生み出し、空間を超えて知らない同士と価値を交換できるようになったのです。
②価値交換における時間の解放
もう一つ。お金は貯めておけるという機能がありますが、これによって人々は「過去に頑張った価値を、今もしくは未来に使う」ということが可能になりました。老後に備えてお金を貯めるというみなさんが当たり前に行っていることもお金があるからできることです。お金が無いと常に価値を生み続ける必要が生じ、不慮の病気など「生み出す価値<必要な価値」の関係になると対応できません。
お金に欠陥がないとは言わないが、、
こう考えてみると「お金がない世界」がどうなるか少し想像できます。お金がない世界では、高度な分業ができないため商品やサービスが極端に低下。そしてより根源的な「好き嫌い」が主な価値基準となり、知らない・嫌い・面倒な人とのつながりが切れそうです。また老人に対しても、衣食住ぐらいは助け合いの精神でフォローできても介護が必要なレベルになるとお手上げで深刻な問題になるでしょう。
前澤さんが仰る「お金が人を不幸にしている」という捉え方自体には共感する部分もあるものの、解決策として「お金を無くす」というのはあまりに短絡的であるように見えます。世界の人たちを愛するように、お金にももう少し敬意を払ってほしいなぁなんて思うところです。
すぽさん、
私も前澤社長の発言は残念です。
すぽさんがコメントされている通り、
「時間や空間の解放」をもたらす機能を
何で代替するのか不明なので、
いまは残念としか言えないですね。
そもそも本質的な問題は、お金の存在ではなく、私たちのお金との向き合いかたなんですけどね。