紙幣から電子決済へ

私はここから数年で「紙幣から電子決済」への流れが加速すると思っています。一口に電子決済と言っても以下のような様々なタイプがありますが、私はこの中で勝ち残るのは「④中国型」だと考えています。

①クレジットカード

②電子マネー(SuicaEdyなど)

③仮想通貨(ビットコインなど)

④中国型(アリペイ、WeChatPay)

手数料ゼロ・スマホでOK
電子決済普及に向けて最も重要なのは手数料です。上記4つの中で古いビジネスモデルにあたる「①クレジットカード」「②電子マネー」はそれぞれ3%程度の手数料がかかり、お客としては気にならないかもしれませんが価格にしっかり転嫁されています。しかも決済端末も高額(10万円以上)のためお店は採算を考えて導入する必要があり、導入店舗は限定的になっています。この①②に支配されているのが今の日本です。

一方、中国ではアリペイ・WeChatPayという電子決済が爆発的に普及し市場規模も600兆円まで拡大しています(日本の電子マネー市場は5兆円)。

爆発的に利用が広がった最大の理由は何と言っても「手数料ゼロ、スマホでOK」というところです。友人に支払おうと、店舗で支払おうと、浮浪者に投げ銭をしようと「全て手数料ゼロ」。しかもスマホアプリでQRコードを見せ合うだけ。①②の古いビジネスモデルでは到底太刀打ちできない世界なのです。参考記事

誰もが持っていることも重要
「手数料ゼロ、スマホでOK」に加え、普及に向けてもう一つ極めて重要なのは「誰でも持っている」ということです。友人に送金をしようとしても、相手が受け取る仕組みを持っていなかったり、店舗で使えないようなマイナーな通貨を渡されても困ります。この点中国の場合はそれぞれネットショッピングとSNS/チャットソフトのガリバー会社が提供しており、誰でも持っている状態だったため、あっという間に普及したのです。

仮想通貨は「中国型」にはかなわない
もう一つビットコインで話題になっている「③仮想通貨」も電子決済の候補の一つです。しかし、仮想通貨は過去の記事でも書いた通り「枚数を限定する」という考え方に欠陥があり、価格の安定につながりません。このため価格の高騰で盛り上がる一方で、通貨としての活用が広がる気配はありません。また決済手数料で見ても「中国型」がゼロであること考えると特段の優位性も見つかりません。

今後はどこが勝ち残るか
ここまで書いたように電子決済が爆発的に普及するには「手数料ゼロ、スマホでOK、誰もが持っている」という3つの条件が必要です。前の2つを満たしている仕組みとしては既にLINEペイがあるのですが「誰もが持っている」状態をつくるのに苦戦しており普及していません。

今後の予測としては、アマゾンが中国型で攻めてくることや、銀行主導のJコインあたりが考えられるのですが、実は今一番良いポジションにいるのはSuicaだと思っています。
Suicaは電子マネーとしては普及しており「誰もが持っている」をクリアしています。ですので、Suicaが手数料ゼロ・スマホで送金できるアプリを作れば、中国とほぼ同じ環境になり爆発的普及が起こりえます。(JR自身はそのことに気づいていないと思いますし、手数料無料なんていう大それた手も打てなさそうですが、、、)
何にしても、中国型の3つの条件を最初にクリアした会社が日本の決裁プラットフォームを握ることになると見ています。早くそんな時代が来ないかなぁ-。

『紙幣から電子決済へ』へのコメント

  1. 名前:マサ 投稿日:2017/12/23(土) 09:52:42 ID:d5070e914 返信

    すぽさん、楽しい記事をありがとうございます。
    自分自身、近年は電子マネーとクレジットカード払いが多く、現金を使用する機会がかなり減りました。
    電子マネーは『ID』『Suica』を主に使用しています。
    『ID』はローソンの還元率が5%だったりと、現金よりお得感を感じています。
    乗り物はもちろん、コンビニ、スーパー、飲食店など、支払いに対し環境が整ってきましたね。
    いけない事ですが、レジで前の人が小銭を探してモタついていると、電子マネーにして欲しいとイライラしてしまう事もあります。
    また、個人差があるのでしょうが、電子マネーやクレジットカード払いだと、引き落としが恐ろしいなんて言う人もいますが、逆に当該サイトやアプリでどれだけ使ったか管理しやすいのではないかと思います。

  2. 名前:すぽ 投稿日:2017/12/23(土) 12:05:00 ID:589fc6ab0 返信

    マサさん、ありがとうございます。
    電子マネーはおさいふケータイの頃から積極的に使っています。
    今はiPhoneでID、QuicPay、Suicaを使っていますのでマサさんと似ていると思います。
    昔はプリペイド型(Edy、Suicaなど)を中心に使っていましたが、最近はID、QPがメインです。MoneyForwardを使うとID、QPは1件ごと確認できるので便利ですね。
    ①②のビジネスモデルは基本的に「B2C」をベースに考えられていますので「C2C」の機能はありません。
    中国の場合はむしろ逆で「C2C」を手数料ゼロで実現できるサービスがあり、B2Cでも当然活用できるという感じです。すごいと思います。

  3. 名前:マサ 投稿日:2017/12/23(土) 14:06:27 ID:bfa8b9607 返信

    すぽさん、ご返信ありがとうございます。
    私も最近MoneyForwardを利用し始めました。
    証券口座と連携させると株価の騰落により日々資産が変動してる事に気づいてしまいます。
    電子マネーは『C2C』の④中国型になれば、飲み会などの割り勘でも、幹事に電子マネーで払うなどのやり取りになるのでしょうね。
    ただ、祝儀や御香典まで電子的なやり取りは人情味が薄れて良くないと思うので、そこまでは浸透しないで欲しいです。
    一般的なカテゴリーの記事も楽しみにしています。

  4. 名前:すぽ 投稿日:2017/12/23(土) 22:38:19 ID:589fc6ab0 返信

    マサさん、ありがとうございます。
    MoneyForwardで資産の変動を見るのが日課になってしまっていますが、確かに善し悪しですね。
    中国では既にご祝儀も電子決済のようです。慣習もテクノロジーによって変化していくものかもしれません。
    議論以外の記事ももっと書けるよう頑張りますね。

  5. 名前:ASH 投稿日:2017/12/31(日) 11:20:19 ID:0936b7acc 返信

    日本人は世界でも類を見ないほどポイント大好きだから利用する側にメリットが薄いのが気になりますね。手数料無料ではポイント出せないでしょう。それにスマホ決済は既存カード会社でもやってますから。

  6. 名前:すぽ 投稿日:2017/12/31(日) 13:56:23 ID:589fc6ab0 返信

    ASHさん、ありがとうございます。
    ポイントは残るでしょうね。ただ、クレジットカード会社ではなくお店が支払うことになるだけだと思います。ビックカメラなどのタイプですね。
    お金を動かすだけで3%はやはり古いモデルだと思います。近所の個人経営の整体屋さんは「クレジットカードは手数料・設備が高すぎて導入できない」と仰っていて、中国型ならすぐ導入するような雰囲気でした。中小企業、CtoCなどは今のモデルでは無理ですが、中国型が実現すればあっという間に広がると見ています。
    余談ですが、「ポイントカードのプラットフォーム」もそのうち誕生すると思っています。LINEが最右翼だと見ていますがこれもまだ動きはないですね。

  7. 名前:はてな 投稿日:2018/01/05(金) 19:49:31 ID:16931309f 返信

    こんにちは
    興味深く読ませていただきました。
    中国型の手数料無料については、仕組みとしての凄さというよりはアリババ、テンセントの羽振りの良さにかかるところが大きいと思います。

  8. 名前:すぽ 投稿日:2018/01/05(金) 20:34:27 ID:589fc6ab0 返信

    はてなさん、ありがとうございます。
    おっしゃる通りで、アリババ・テンセントが「無料でもいいや」としたことで爆発的に広がったということだと思います。
    ただ、現在のテクノロジーを考えると”決済ごとき”に手数料3%はあり得ませんし、プラットフォーム型ビジネスであることを考えると、無料型で勝負をかけた企業がプラットフォームを握るとみています。お客さんは常に便利な方に進みます。