安愚楽牧場が破綻しました。
詐欺のたぐいではないと思いますが、何にしても元本全てが戻ってくることはありません。記事ではいかにも一般市民が災害でも受けたようなトーンで書いていますが、私は債券(のようなものを含む)で失敗する人に対してはいつも冷ややかな目で見ています。欲の皮が突っ張った結果でしょとしかどうしても思えないのです。
こういった高利回りを謳った債券の破綻はしばしば起こります。
過去にも、ホテルファンド、平成電電などが有りましたし、大きな話だとサブプライムローンもそれにあたります。
こういった商品を購入する人の根っこには「元本は毀損したくない。けど利回りを高くしたい」という矛盾があります。そして、債券は元本保証だと思い込むことで、「破綻リスク」に対して目をつぶってしまいます。
債券の利回りは「破綻率ゼロの時の利回り(仮にαと呼びます)」+「破綻率を踏まえた利回り(仮にβと呼びます)」という構造で成り立っており、α以上の利回りの債券を購入するということは、素晴らしい買い物ができたというわけではなく、ただ単に破綻リスク(β)を引き受けたというだけなのです。
なので、安愚楽牧場のオーナーには「βを背負って、ただその時が来ただけでしょ?」としか思えないのです。
また、このβを測ることは実は極めて難しい作業です。普通の投資家ではとても測れないため、格付け会社にその仕事を任せているわけですが、サブプライムローン問題でも分かった通り格付け会社でさえリスクを正確に測りきれているわけではありません。そう考えると、βを望もうとする(高利回りの債券を購入する)こと自体がリスクコントロールができない投資法と言えます。
私はリスクを引き受けて利回りを得たいのなら、リスクが測りやすい株式の比率を高めるほうが健全だと思います。
世の中に絶対はない。投資家ならそれぐらいの覚悟を持って投資すべきですし。高利回り債券を買うのは覚悟もしくは知識のない人向けの投資法だと思います。
またこういった投資家こそが金融会社のカモなわけですがその辺は気が向いたら書きます。次にニュースになりそうなのは、広告を大量に打ち(平気で出資者に広告コストを負担させ)ながら劣後債をいかにも高利回りでお得ですと謳う、みんなで大家さんあたりですかね。